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言葉遊びシリーズ(1)〜法律カルタ編
執筆者 三木邦裕

言葉遊びシリーズ(1)〜法律カルタ編

犬も歩けば器物損壊

犬は刑法上「器物」ですので、犬を殺せば器物損壊罪になります。また、犬が歩いていて何か物を壊した場合は飼い主に「器物損壊罪」が成立しそうですが、飼い主に故意はなく過失しかない場合には「過失器物損壊罪」はないので注意が必要です。なお、野良犬を殺しても刑法上の「器物損壊罪」は成立しません。元の形は「犬も歩けば棒にあたる」です。

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債権者の目にも涙

「頼むからもう少し待ってくれ!」と哀願されて、「何を!払えねぇなら娘を連れて行く」「おとっつぁん!!」ヨヨヨ…。とは、時代劇の見すぎでしょうか。いくら資本主義の世の中でお金が万能であっても、債権者もやはり人の子です。元の形は「鬼の目にも涙」です。

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老いては判例に従う

若い頃は血気盛んで「判例(裁判所の見解)がなんぼのもんじゃ」と思っていましたが、年を重ねるにつけ、「やはり体制側についた方が楽だ」と考えた人のつぶやきです。元の形は「老いては子に従う」です。

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身内から出た詐欺

説明の必要はないでしょう。元の形は「身から出たサビ」です。

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有責の正体見たり配偶者

有責とは、責任があるということです。有責の現場を見られた配偶者ということで、裁判においては不利になるでしょう。元の形は「幽霊の正体見たり枯れ尾花」です。

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アルキメデスの権利

特に意味はありません。元の形もありません。ただ、「アルキメデスの原理」からの発想です。

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義を見て為すは違法性阻却

違法性とは、「社会秩序に違反した」ということだと思ってください。か弱い女の子が襲われようとしている。そこで、Xは勇気を奮って止めに入った。そこで相手に少しは怪我を負わせたかもしれません。しかし、その傷害罪の違法性は阻却されるということです。元の形は「義を見てせざるは勇なきなり」です。

編集部註:阻却=さまたげる、しりぞけるなどの意味。

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出る悔いをなぐさめる

カッとなって人を殴った等ということはよくあることです。後で出るのは悔いばかり。それを執行猶予で裁判官がなだめるというものです。元の形は「出る杭は打たれる」です。

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逃がした魚は遺失物

遺失物とは、忘れ物というような意味です。海釣りをしていて逃がした魚は別に遺失物ではありませんが、それほど悔しいということを現しただけです。元の形は「逃した魚は大きい」です。

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火のないところに放火罪

放火罪は昔から大罪です。現在でも死刑まであります。元の形は「火のないところに煙はたたない」です。

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俊敏(しゅんびん)アカ付きを覚えず

俊敏にしていると、世間の色々なアカは付かないという意味です。まさに、ローリングストーンですね。元は、孟浩然の代表的な五言絶句「春眠」から「春眠暁を覚えず(春眠不覚暁」です。

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骨折り損の傷害罪

傷害とは、人の生理的機能を害することです。骨を折るというのは、まさに「傷害罪」です。元の形は「骨折り損のくたびれ儲け」です。

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薬局は距離を気にせず

商売には距離制限がついているものがあります。風呂屋さんなんかは典型的な例です。昔は薬局にも距離制限があったのですが、現在はそんな事もどこへやら。薬局の隣に安売りのチェーン店ができている状況です。

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貞女両訴にまみえず

両訴とは、民事訴訟法・刑事訴訟法を指します。このカルタに意味を見出すということは不可能です。元の形は「貞女両夫にまみえず」という今では廃れてしまった言葉です。何か恨みでもあるんかいな。

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大阪で生まれた学説

学説とは、学者さんの考え方です。それがたまたま大阪で生まれたというだけです。昔「大阪で生まれた女」という歌がありましたなぁ。

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京の着倒れ、僕貸し倒れ

特に意味はありません。大阪が出たので、京都を出したかっただけです。ちなみに、大阪は食い倒れ、東京は履き倒れといいます。

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馬の耳に称名念仏事件

少し法律的でしょう。称名念仏事件とは、大正時代にあった事件で称名念仏を依頼したことに債権の成立を認めたものです。元の形は「馬の耳に念仏」です。「馬の耳にアーメン」等いくらでも亜流ができます。

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飯食うは腹ふくるる技なり

条文というのは、要件・効果で成り立っています。「飯を食えば腹がふくれる」というのは、「飯を食えば」の部分が要件で、「腹がふくれる」というのが効果です。このカルタの意味は「当たり前」ということです。

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遠くて近きは因果の法則

法律ではよく因果関係が問題となります。ある原因があったからある結果があるということですが、究極までいくと、ご先祖様が悪いということになります。元の形は「近くて遠きは男女の仲」という色っぽいものなのですがね。

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朱に交われば朱になる。

水は器の形により形状を変えます。そのように、交わる色により色が染まるというものです。別名、カザミドリとも言う。元の形は「朱に交われば赤くなる」です。

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二兎を追わなければ二兎は得られない

宇宙の真理であると思っています。元の形は「二兎を追うものは一兎をも得ず」です。

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求めよ!されど与えられん

世の中というのは、上手くいかないものです。資本主義の慣わしでしょうか。求めても求めても与えられないのは何故か。これが分かれば苦労はせぬか。

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