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森羅万象全てが学ぶ対象ですの用語集

その他の学問と○○学(一部学問でないものを含む)

書相学

1954年版本誌掲載。以下、

筆跡によってその人の性格特徴を診断する研究を言う。筆跡の印象による研究、書かれた文字を拡大して細部の特徴を発見しようとする方法、一定の装置(筆圧計)の上で文字を書かせ、筆圧の変化を曲線に表して研究する方法、等が用いられている。例えば肥満した体格の人の筆圧曲線はなだらかな曲線を示し、痩身型の人のそれは鋭い直線の波状をなす。

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コンチェ美容学

1959年版本誌掲載。以下、

フランスのマルセル・コンチェの名前で、医学と美容の中間をゆく分野の研究を進めている学問。

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未来学

1968年版本誌掲載。以下、

学問の一分野として独立してあるわけではないが未来を様々な角度から研究推論する学問の総称である。人間の脳がもち得る生理学的能力の限界、電子計算機の研究改良、人工論、言語学、都市工学、数学、人間の情緒の問題など、未開発な分野だけに、色々ととショッキングな内容が多い。個人的な机上夢としてではなく、各分野の専門家が集まって研究する必要がでてきた。

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生活経営学

1968年版本誌掲載。以下、

昭和41年に国民生活審議会で思案として提出されたもの。マネージメント時代の折柄、本来、企業用語である経営ないしは経営学が、諸方面で取り上げられているが、生活経営学はその雰囲気を多分に持っている。いわゆる家庭管理(home management)と軌を一にする性格と見られる。食生活、衣生活、住生活の管理を内容とすると説明されるが、家政学より稚く、学問体系はいまだ成っていない。ただ生活経営は意味が拡大され、たとえば家政学の建前は家族にあるが、生活経営となれば広く一般人となり、学校教育は前者は中等教育の女子コースであるが、後者は男女両方を対象にするという見方である。

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生活商品学  study of living commodities

1972年版本誌掲載。以下、

商品を対象とする学問領域において、とくに生活必需品に関して研究するもの。生活必需品は直接消費者がふれるものであるから、同義的な用語として消費者商品学(consumers marchandize)も適用する。商品流通、品質、価格、包装、広告、消費者行動、選択、購買論などを内容とする。

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生活学

1977年版本誌掲載。以下、

建築学、社会学、分化人類学、栄養学など人間社会のあらゆるあらゆる活動を生活との関連においてとらえようとする、きわめて新しい学問である。日本生活学会は、昭和47年故今和次郎を初代会長に発足した。生活は家政学だけでとらえきれないろいう認識にたち、家政学をはじめ大学の諸学部が人間生活の側に立った学問であるよりメーカーのための学問になってしまっている現状を打破して「人間らしさ」の確保をテーマにしている。同学会理事長川添登(建築評論)は「今は、異なる分野の人達の共通の場をつくり、それぞれの立場からの生活学のないようについて議論を積み上げて行こうという段階だ」と語っている。

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日本学(ジャパノロジー)  Japanology

1986年版本誌掲載。以下、

「日本文化研究を学際的、総合的、国際的に推進するとともに、海外での日本文化研究に必要な情報提供等を行う」ことを目的として文部省が設置。昭和59年10月、中曽根首相が京都視察時に、梅原猛、今西錦司、桑原武夫、梅棹忠夫ら「京都学派」の学者達の提言を得て、主要先進国首脳会議(サミット)などの経験から、日本の経済力向上の背景を日本文化の伝統を踏まえて説明する場面などで、諸外国首脳と渡り合うのに「日本学」(ジャパノロジー)の確立の必要を痛感していた折から、この構想に熱意を示し、60年度の文部省予算に追加して盛り込み、早期実現に向かって積極的に動き始めた計画。60年4月、国立民俗学博物館(梅棹忠夫館長)内に調査会を発足、梅原らの提出した試案(「設立趣旨」「本研究所の特徴」「本研究所を独立の研究機関とする必要性」「組織概要」の4章からなり、さらに同研究所で行うべき「研究プロジェクト(案)」として46の具体的研究課題を例示)に基づいて、「国立日本文化研究所」(仮称)の近い将来の設立を目指している。

本研究所の構想は、人文、自然科学両面を含めた学際的組織とし、日本研究に関する内外の学者に自由に利用させ、研究情報を交換する、などとし、国立大学共同利用の独立機関とする。組織面では基層文化研究部(日本文化の原型、特性を解明)、伝統文化研究部(近代初期に至る生活と文化を総合的に研究)、現代文化研究部(明治以降の近代化、戦後の急激な社会変化の探求)、境界領域研究部(主に自然科学的方法で文化と自然の相互関係を研究)、文化情報研究部(文化情報の処理など)の5研究部門、他に国際客員研究部を置くなどとしている。研究所の建設有力候補地は京都市。

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父親学

1986年版本誌掲載。以下、

家庭の機能の中で、夫であり父親である男性の位置づけは、わが国においては希薄であることが多く、家庭を顧みずに家庭外で働く男性であることが要求されてきた。それによって日本の経済界は飛躍的に発展し、大国といわれる状況を作ったけれども、欧米からは働き蜂ともエコノミック・アニマルとも言われ、男性への非難が向けられたばかりでなく、子どもの心の中での父親のイメージは極めて乏しく、精神的な母子家庭と言われる状況を作り出している。そうした夫のあり方は妻にも不満を与え、母親には子供との分離ができない状態が生じたり、家庭崩壊から問題児を作り出したり、ついには妻の側からの離婚が提案されたりしている。これらを憂慮して、企業における仕事と家庭での夫および父親の役割とを両立させるために企業側から提案されたのが「父親学」であり、今後の日本の家庭にとって極めて大きな意味がある。欧米では、すでに、夫であり父親である男性として位置付けが社会的に認められ、家庭人としての機能が発揮されるように、今後の日本の産業界の意識の変革が望まれる。

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路上観察学

1987年版本誌掲載。以下、

おや?こんなものが街にころがっている!と、発見と驚きの観察者の眼。路上の石ころ、マンホールのふた、ハリガミ、近代建築のカケラなどを丹念に記録・収集するグループが昭和61年、愉しげに学会までも結成してしまった。「トマソン」と命名した無用で無能の都市物件を写しとっていた画家・赤瀬川原平、建築探偵を称える建築士学者の藤森照信、イラストライターの南伸坊らストリートウォッチャーたちである。都市の再開発ブームの陰で哀れにも惨めにも認められない、もうひとつの都市への愛嬢表現が、路上観察学の根っこである。

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歩育学

1988年版本誌掲載。以下、

子どもは歩くことで心身を鍛えられて育つという、長野県志賀高原で「キャンプツアー21」を開く原田幸彦の提唱。

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不均衡動学  Disequilibrium Dynamics

1988年版本誌掲載。以下、

『不均衡動学の理論』の著者岩井克人によれば、不均衝動学とは「不均衡」の経済学を「動学」的に再構築する試みのことである。伝統的経済学では不均衡は価格機構の自由な働きによって解消されるものとされる。しかし、たとえば賃金が伸縮的に変化しているにもかかわらず失業が永続化するといった場合、価格機構のもつ受給調節機能に対する再検討が要請され、価格の受給調節機構を前提にしない不均衡の経済学の構築の必要性が主張されるのである。そしてこの問題を動学的に分析するとは、如何なるメカニズムによって不均衡が是正され、あるいは拡大されるのかの問題を、時間のプロセスそのものの中で考察することを意味するものに他ならない。岩井は不均衡動学の一つの典型をスウェーデンの経済学者K・ビクセルによって展開された不均衡累積過程の分析に求めている。ビクセル的累積過程とは、自然利子率と貨幣利子率とが乖離すると物価水準が累積的に変化する状態を意味する。同様の不均衡動学の典型例はR・ハロッドの国民所得の保証成長率と現実成長率との間に存在する不安定性の定理においてもみられる。

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男性学

1989年版本誌掲載。以下、

フェミニズム運動の大きな流れの中で進展、成熟してきた「女性学」に対して、男性の自己解放学として注目されるようになってきた。アメリカの大学ではすでに100以上の「男性学」講座があるといわれ、運動団体、専門雑誌もつくられ、新たな男性の生きかたが模索され始めている。日本でも心理学者の渡辺恒夫が『脱男性の時代』で「男性学」を提唱した。男性も男性社会の脅迫的な「男らしさ」から自由になって、女性と共に性差の相互乗り入れを果たそうというもの。アンドロジニー(男女両性性)をその実現の目標としている。しかし、男性学はあくまで女性学の一分野として位置付けられるのではなければ、従来の力関係からみて男性学が女性学の発展を妨げると懸念する女性側の声も聞かれる。

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平和学

1991年版本誌掲載。以下、

正式な講義に取り入れる大学が相次ぎ、研究者の集まりである日本平和学会の会員はこの3年間に倍増。

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文化睡眠学

1991年版本誌掲載。以下、

日本人の睡眠時間が短くなってきていることから、「堂々と昼寝や居眠りをしよう」と樺山紘一・東大文学部助教授らが提唱する、眠りの文化を復権させようとする運動の考え方。1989(平成1)年10月、ある寝具販売会社の主催するシンポジウムで提言されたことから注目されるようになった。総務庁が1986(昭和61)年に調査した結果では、日本人の睡眠時間は5年前に比べて男性で10分、女性で9分、とくに20代後半から40代にかけての働き盛りの男性の場合には、13〜17分も短くなっている。樺山氏らによると、今や睡眠ということを根本から考え直さなければならない臨界点に達しているという。日本人は日中は働き続け、夜になればぐっすり眠るという農耕型の生活が支配的だったが、最近は狩猟型に生活スタイルが変わってきていることから、在来の眠りのあり方に違和感を感じる人が多いはず。居眠りや昼寝をもっと積極的に日常生活の中に取り入れ、ストレス解消や疲労回復に役立てようではないか、という提言である。

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縞々(しましま)学

1994年版本誌掲載。以下、

地学現象の中には周期性のあるリズミカルな変動に由来するものが多い。海底や湖底に沈積して成層をなした地層の切り口に見られる縞模様、地下で流動して固結したマグマに内蔵される流理構造のもつ縞状特性など、多様な原因によって現れる。それらは地学界ですでに注目され究明されつつあるものだが、最近とくに日本で提唱された分野で、縞々学の呼称で縞の発生原因と関連のありそうな気象変化・生物発生絶滅のリズムを読みとる研究が始まった。これは地球環境の解明をする総合的かつ学際的試みである。

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行列学

1998年版本誌掲載。以下、

流行の行動的表現としての行列を、社会学の一部門としたいという、朝日新聞西島建男編集委員の提案。昨今の行列は情報経験の心理的所有の優越感に基づく。人が集まるところに行くという他者志向型コミュニケーションの行列言語行動は、社会学の格好の分析対象になりうるという。

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当面の力学

2000年版本誌掲載。以下、

行革問題に際して、教養を先送りして国立大学は「当面の力学」を優先してきたとその体質を毎日新聞が批評。

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失敗学

2001年版本誌掲載。以下、

科技庁(文部科学省)長官の諮問機関「21世紀の科学技術に関する懇談会」の提言。報告書で「日本の企業には、事故が発生したり製品の欠陥が明らかになり回収が必要になったりした場合でも、隠蔽やもみ消しをする風潮があり、失敗が有効に生かされていない」と指摘、失敗例をデータベースにして社会が共有し、失敗学という新しい学問に発展させる発想の転機が必要だといっている。

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地元学

2002年版本誌掲載。以下、

地域固有の文化を発掘し再評価する方法論。提唱者は熊本県水俣市環境対策課長の吉本哲郎。『風に聞け、土に着け』の著書を出度本誌掲載。以下、。

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とげぬき地蔵経済学

2002年版本誌掲載。以下、

竹内宏の著書(メディアファクトリー)から。同書は、「おばあちゃんの原宿」として知られる東京巣鴨の地蔵通り商店街の成功例に学び、シニアのハートをつかむ接客術を紹介。2100万人余にのぼる65歳以上の高齢者は、1世帯当たり平均2500万円以上の蓄額を持っている。それが消費に回り、国内に巨大な市場ができれば、経済の新たな牽引役が生まれるとの予測。

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