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歴史は繰り返されるの用語集
 

できることなら遠慮したい繰り返し

(ガンの)再発  recurrence 英、Rezidiv 独

1979年版本誌掲載。以下、

感染症あるいはガンが、臨床的に治ったという状態になってから、なんらかのきっかけで再び活動をはじめて前と同じような病変を起こすことをいう。実際には病気の治ったという治癒判定など難しい問題が残されており、必ずしも明らかなものではない。今日ではガンの手術後の再発などが最も問題になっている。胃ガンの場合、手術後5年間再発がなければ、臨床的には治癒と認められている。その場合、転移のないことが再発を少なくする大きな要因になる。そのためには早期発見、早期治療が肝要といえる。

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覚せい剤中毒再発のメカニズム

1992年版本誌掲載。以下、

1度、覚せい剤中毒になった体は、覚せい剤を蓄積しやすい体質になり、脳神経への吸収量が以前の5倍に増加することが動物実験で確かめられた。ラットの一群にメタンフェタミン(覚せい剤)を3週間毎日投与した。その後いったん1週間ほど中断して再度、覚せい剤を与えたラットの異常行動がなくなってから、他方の生理的食塩水だけを与えたラット群に同時に前記の覚せい剤を与えて調べた。その結果2度にわたって覚せい剤を与えたラットは、精神安定に重要な役割を果たす脳の尾状核などと呼ばれる場所の神経の末端で、生理食塩水を与えたラット群に比べ蓄積量が5〜6倍にも高くなっていた。

1度中毒にかかった場合、再使用の場合は覚せい剤の吸収量が脳神経の膜の変化により少量で中毒症状を起こすのではないかと考えられている。

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悪質商法再燃

1994年版本誌掲載。以下、

一般的な広告、宣伝、表示などの域を越える特殊な状況を意図的に作り出し、その中で消費者にモノ、サービスを購入するように誘導あるいは強制する、という販売方法を悪質商法、あるいは悪徳商法、問題商法などと呼ぶ。戸別訪問してしつこく勧誘する「押し売り」は悪質商法のいわば古典的な姿で、現代ではその手口も多様化し、消費者問題の中でも大きな部分を占めている。

国民生活センターでは、全国の消費者からの苦情相談の内容から、現在とくに22の手口の悪質商法を重要視し、それらがどのような消費者心理を利用したものかによって表のような分類を行っているが、それを見れば消費者がつねに大きな危険にさらされていることが明らかである。

ところで、こうした悪質商法による被害の大小は、経済情勢と深いかかわりがあるようだ。不況の時期には、当然消費者の態度は慎重になるはずだが、しかし倒産が続出するような状況になれば業者側が苦しまぎれに悪質商法に頼ることになり、とくに未経験な若年層や人恋しい孤独な老人が狙われやすい。

事実、国民生活センターがつかんだ悪質商法にかかわる苦情相談のデータからするとバブル崩壊後の不況が長引いて3年目の1992(平成4)年度には、被害件数は前年度をさらに1割以上も上回り、これをもとに実際の被害件数を推定すると600万件にものぼると見られる。

そして、1件当たりの被害金額は、カードや割賦契約などの消費者信用が容易に利用できるようになっていることとも関連して、若年層が対象になりやすい「アポイントセールス」で平均77万円、高齢者が被害を受けやすい「開運商法」でも平均69万円と、概して数十万円の高額に及ぶことからすると、被害総額は数兆円にも達するという推計が可能である。

これまでも、悪質商法への取り締まりはとかく後手に回りがちであり、それだけに消費者自身の自覚がなければ被害を食い止めることは難しい。新学習指導要領にもとづいて、小、中、高校での消費者教育の実施も現実化しつつあるが、成人、とくに高齢者への啓発活動も含め、「かしこい消費者」づくりへの取り組みを一層強化することがますます必要となってきている。

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関東地震再来の可能性  possibility of recurrence of the Kanto earthquake

1994年版本誌掲載。以下、

国土地理院の測量によって、例えば伊豆大島と伊豆半島伊東付近の三角点間の距離が、1925〜91年の66年間に112センチメートル縮んでいるなど、相模湾をカバーする三角点網の変形が明らかになった。この結果より、同地域に関東地震(M7・9、1923)以来集積している地殻ひずみを求め、地殻が破壊して地震発生となる限界ひずみと比較して、1923年からある時期までに地震が発生する集積確率(cumulative probability)やある時点から10年以内に相模湾方面に大地震が起こる確率(瞬間危険率、hazard rate)を求めることができる。1993年の時点では、瞬間危険率は11%くらいであまり高いとはいえないが、来世紀末には二つの確率はいずれも高くなり、関東地震の再来を心配しなければならないであろう。

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イラク危機再燃

1999年版本誌掲載。以下、

イラク政府は1997年10月、国連特別委員会(UNSCOM)によるイラクの大量破壊兵器査察チームのメンバーからアメリカ人要員を「スパイ行為をしている」として排除するよう要求。さらに同年12月には「大統領関連施設」に対する査察を拒否する姿勢をとった。イラクは1990年8月の湾岸危機(→別項)以来、国連による全面的な経済制裁を受けているが、アメリカの反対で制裁全面解除の見通しが立っていない。このためイラクは危機をあおることで制裁問題に世界の注目を集め、対イラク包囲体制に改めて揺さぶりをかけたと見られる。

これに対しアメリカはペルシャ湾やその周辺における兵力を増強、イラク攻撃を準備した。また、イギリスやカナダなどがアメリカを支持しペルシャ湾に派兵した。一方、フランス、ロシア、中国が武力行使に強く反対し、サウジアラビアやバーレーンなどペルシャ湾岸アラブ諸国は、アメリカ軍が自国を対イラク攻撃基地に使用することを拒否した。結局、危機が最も高まった98年2月、アナン国連事務総長の調停が成立し(→「アナン事務総長調停」)、危機はとりあえず回避されたが、「武力行使も辞さない」というアメリカの対イラク政策の限界も露呈された。

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米包括通商法スーパー301条と政府調達条項の復活  reinstatement of “Super 301” trade provision and the revised “Buy American” law

2000年版本誌掲載。以下、

米政府は包括通商法(Omunibus Trade and competitiveness Act)スーパー301条と政府調達条項(タイトルセブン)を1999年4月1日に大統領令により復活させた。スーパー301条(不公正貿易国の特定と制裁)と政府調達条項は、制裁を武器に優先対象国の参入障壁を除去してアメリカの製品・サービス等の輸出増を意図するものであり、市場の閉鎖性をつきながら相手国の対米輸出自主規制などを誘引することもできる。88年に導入されたスーパー301条は2回の延長を経て97年に期限切れになっていたものであるが、99年から2001年まで有効なものとして復活した。一方、アメリカ通商代表部(USTR)は99年外国貿易障壁報告書(national trade estimate report on foreign trade barriers)を米議会に報告し公表した。同報告書は54カ国を貿易障壁をもつ国として指名しているが、カナダ、中国、EU、メキシコ、韓国、日本の6カ国を主要な国としている。この報告書に基づき「優先交渉(一方的な制裁を前提に是正を求める)」の相手国が特定されるが、日本はその対象から外れて「優先監視」(注意深く監視する)の国として自動車・自動車部品、板ガラス、保険の分野が優先監視項目に特定され、政府調達条項ではコンピュータと公共事業が監視リストに特定された。

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