月刊基礎知識
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結婚事情の今昔を知るための用語集
 

離婚とその周辺のことば

ニコニコ離婚講座

1983年版本誌掲載。以下、

円(まどか)より子氏が主催する、うまく離婚するための講座。離婚はできるだけさけたい人生のトラブル、女の不幸、といった従来の結婚観からみたとき、離婚をテーマにした講座そのものがユニークであり、離婚は財産、親権をめぐっていさかいが生じがちであるからニコニコ笑って別れられる状態ではなく、この点でも注目を集めた。講座開講3年間で受講者2000人。その結婚の状況は、別居中35%、同居係争中33%、家裁調停中9%、財産分与の話合いがつかないもの8%、離婚希望者7%、相談者の年齢は30代がトップで40、50、20代と続き平均年齢39・2歳である、という。離婚を考えるに至る理由は、(1)人生観の違い、(2)夫に家庭を築く意志なし、(3)夫の浮気、(4)親の干渉、(5)夫の暴力、(6)性の不一致があげられている。従来の結婚観では離婚の理由になりにくかった(1)、(2)がトップにあげられている点からは、女性の意識の大きな変革がうかがえる。それだけに離婚について周囲から同意を得にくく、問題の解決をこの講座に求めたものと思われる。

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離婚者余命

1984年版本誌掲載。以下、

厚生省人口問題研究所の石川晃研究員が、「離婚後何年生きられるか?」について統計をとってみたところ、女性のほうが男性よりもはるかに長生きするということがわかった。たとえば、60歳の有配偶者(妻がいる)男性の平均余命は18・20歳だが、同年齢の離婚者男性は14・97歳と、4年ちかくも短命になっている。これに対して、60歳の離婚女性の余命は21・38歳もあり、男性との差は6年をはるかに超えている。炊事・洗濯まるでダメといった男性が離婚後急速に老いさらばえていくのに対して、女性のほうは「ああサバサバした」とばかり明るく、楽しい余生を送ることができるからだろうか。ちなみに警察庁の『自殺白書』を見ても、人口10万人当りの自殺者の発生人数をあらわす”自殺率”(昭和57年度)は、「夫と離別した女性」の場合が34・8人であるのに対して、「妻と離別した男性」のほうは177・3人と、実に5倍もの高率を示している。まさに男性たるもの、世をはかなんで自殺したくなるような数字ではないか。

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離婚制度研究会

1985年版本誌掲載。以下、

離婚件数が史上最高を更新し続けているなかで、母子世帯が約72万世帯、父子世帯が約17万世帯に増えている。その点を児童福祉の面から検討するため、厚生省は昭和58年6月20日に離婚制度研究会を設置した。児童家庭局長の私設諮問機関であり、学識経験者のほか、全国母子寮協議会代表、家庭裁判所調査官など8人の委員が研究を行っており、1年後に対策を打ち出したいと努力している。

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離婚雑誌

1985年版本誌掲載。以下、

昭和57年のわが国の離婚数は約16万4000件で、40年の倍以上。平均3分20秒で1組が離婚している。こういう時代を反映して離婚雑誌『スタート』が創刊された。オーナー兼編集長は、離婚の経験ある飯高仁子さん。結婚と離婚を考える雑誌をと銘打っているが、内容は後者の方。特別企画「慰謝料」、講座「離婚準備学」、体験レポート「離婚−私の場合」など。

ほんらいは宝石の専門誌だったが、市場を調査したら、主婦の4、5人に1人は離婚を考えていると数字がでたので、創刊に踏切った。今のところ季刊。

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離婚商売

1985年版本誌掲載。以下、

離婚雑誌に続いて離婚相談、さらに縁切り請負業まで生れた。代表的なのは東京・大久保の「愛幸センター」で手数料は10万円。過去1年間で相談例440件。うち離婚成就例380件と成功率86%である(59年6月、弁護士の資格なく離婚のあっ旋を行ったという弁護士法違反を問われ、あえなく幕を閉じた)。

離婚の理由は「夫が左遷されたから」「音をたてて食事をするのが嫌」という短絡型から最近は価値観のちがい、とくにコミュニケーションの欠落が理由というのが増えてきた。「庭の桜がきれいですね」といった妻(54歳)に対し、会社役員の夫(56歳)の「それがどうした」という返事にガックリ30年余の結婚生活に終止符をうった例もある。日本経済新聞の中堅サラリーマン1000人調査によると、家庭や個人生活より仕事を優先するミドルが78%、この手の会社人間だと家族と一緒に食事をとるのが週に1、2回というのが62%という。長い残業時間、つき合い酒の習慣で、夫婦間のコミュニケーションが少なくなり離婚はむしろ日本企業の構造的原因に基づくとさえいわれている。ローマ市民には、男女とも離婚の権利があり、家庭崩壊が耐えなかった。ローマはそれで亡びた。まさに「たかが離婚、されど離婚」である。

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離婚適齢期

1986年版本誌掲載。以下、

増え続けてきた離婚が20年ぶりに減少に転じた(厚生省昭和59年人口動態統計速報)。第1次ベビーブームに生まれた団塊の世代の離婚適齢期が峠を越えたという説もあるが、離婚そのものの頻度も減少している。世界一の離婚国といわれたアメリカも減少傾向が顕著で、日本も同じ傾向といえそうである。離婚件数は59年は18万1337件で、58年の18万1791件に比し451件の減少、わずか0・7%の減少率だが、39年以来20年ぶりの減少である。

戦後の離婚件数は終戦直後には8万件を越えたが、その後減少したものの、39年に7万2000件を越えてからはずっと増え続けてきた。人口1000人当たりの離婚率も39年には0・7組で、47年には1・0組をオーバー、58年には1・52組と戦後最高を記録したが、59年には1・51組とダウンした。家庭崩壊の原因である離婚にもどうやら歯止めがかかってきたようである。

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男のための離婚110番

1994年版本誌掲載。以下、

1992(平成4)年、日本初の「男のための離婚110番」(ハンド・イン・ハンドの会主宰)が開設。その結果、中高年に離婚の予備軍が多いことが予想されるという。従来、離婚の申し出は女性からといわれてきたがこの110番では「別れたいのに妻が応じない、再びシングルライフを楽しみたい」など、男性からの訴えも多くなっている。

92年の人口動態調査によれば結婚20年以上の夫婦の熟年離婚は過去最高の2万7000件に達し、10年前の2倍となっている。

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離婚産業

1999年版本誌掲載。以下、

「ディヴォース・ビジネス」。世界一の離婚大国アメリカでは、いまや結婚を対象としたブライダル産業よりも、離婚を対象としたディヴォース産業のほうがウケにいっているという。離婚セレモニーを演出し、離婚リングを作って参加者の目の前でハンマーで叩き割って見せたり、晴れて(?)独身になったことを宣言する文章をプリントしたTシャツを売りつけたり、相手への恨みをこめて踏みつぶすためのブードゥー(呪い)人形を渡したり…あの手この手の新商法が花盛りだ。また、新しいボーイ・フレンドを見つけるための離婚後の生活ガイドブックなども売れ筋で、離婚双六のようなゲーム類にも人気が集まっている。

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