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結婚事情の今昔を知るための用語集
 

非婚・未婚・結婚難

非婚時代

1988年版本誌掲載。以下、

未婚・離婚・脱結婚など結婚の外で生きる人たちの増加をさして、一言で「非婚時代」と言い表す表現があらわれた。吉廣紀代子の同名の著書と、海老坂武の『シングル・ライフ』がベストセラーになった。シングルはたんに「結婚まで」の未婚シングルや「結婚のあと」の死別・離婚シングルのような人生の過渡期をさすのではなく、積極的なライフスタイルの1つとなった。

この背景には、女性の晩婚化と独身率の上昇(1985年では、25〜29歳で30・4%)および適齢期人口の男女比のアンバランスからくる男性結婚難の状況(20歳代では全国で20万人男性が女性より多い)がある。女性はすすんで非婚、男性は余儀なく非婚、と対照的。男性の独身率は30代で20%に達し、とりわけ農村部、長男、低学歴層に集中。妻を国外に求める「輸入花嫁」という現象も起きている。

他方、結婚の内容も多様化。籍を入れない結婚、同居したまま籍だけ抜くペーパー離婚、家庭内離婚、はじめから別居覚悟のキャリアカップルの長距離離婚、単身赴任組の増加、海外駐在や子供の進学などで所帯分離する分散家族など、カップルでもシングル、シングルでもカップルというように、結婚・非婚の区別がつけにくくなった。再婚家庭で夫婦がそれぞれ連れ子を持ち寄る再建ファミリー、従来の家族の概念を超えたポスト・ファミリー、単親家庭など、いわゆる「標準家庭」におさまらない家族もふえた。家族を血縁や居住の共同だけで定義するのはむずかしくなったし、一家に2つ以上の姓のある家族も珍しくなくなってきている。

シングルズの方では「シングル・ライフ」や『一人家族』(増田みず子)のように「一人でも家族」という『シングル・カルチャー』(青木やよひ)が成立。ファミリーの方では『個人化する家族』(目黒依子)のように「家族でも個人」という個室文化が普及している。シングル現象は、もはや非婚組だけでなく、既婚・非婚を問わなくなっている。

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結婚浪人

1989年版本誌掲載。以下、

30過ぎの独身男性。

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男性の結婚難

1990年版本誌掲載。以下、

農村の嫁不足とともに、最近は都会でも男性の結婚難が深刻になっている。その原因は、いわゆる適齢期人口のアンバランスがある。23〜35歳の独身男性497万人に対し、20〜32歳の女性は約442万人〔1985(昭和60)年国勢調査〕と、男性のほうが55万人も多い。また、社会的に自立した女性が多くなり、結婚相手を人生を豊かにするためのパートナーというとらえ方をするのに対し、男性の「自分は仕事中心、妻は家を守ってほしい」「身辺の世話をしてくれる人」という旧態依然の女性観とのギャップが大きいこと、女性の理想が高くなり、身長・学歴・年収が高い「3高マン」を望むという傾向も拍車をかけている。そのほかにも、仲人的な世話をしてくれる人の減少、独身生活を便利にする、さまざまな社会的サービス業の存在なども背景にある。

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男性結婚難時代

1990年版本誌掲載。以下、

25〜34歳までの未婚者人口は、男性が女性の2.2倍。女高男低といわれる空前の男性結婚難時代が到来した。農村部ではこの解決策をアジア各地からの輸入花嫁に頼るところもあるが、都市部での男性の結婚難も深刻で、東京都に住む男性の30〜34歳の独身率は41.5%(女性19.5%)となっている。日本青年館結婚相談所では、樋口恵子、斉藤茂男らが発起人となり花婿学校をスタートさせた。「よりよい人間関係を築くために男性の意識改革を促すのが目的」であり、既婚者の受講も認める方針。大阪には民間の花婿講座が出現。18回で16万円の受講料で男女交際のハウツーを教える。

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結婚難時代

1992年版本誌掲載。以下、

男性の結婚難がとりざたされて久しい。しかし、男性の結婚難は単に男性の数余り現象だけではなく、対等のパートナーシップを求める女性と、旧来どおりの母親代わりを求める男性との意識や、感覚のズレにもよる。

最近の元気な女性たちの変化についていけない男性の女性不適応症がふえている。女性との性交渉がうまく持てないサワラナ族や、女性から求愛されると逃げ出そうとしてしまう『逃げ腰症候群』(新水社)の男性も現れた。

一方、女性は、漠然と一生シングルかも知れないと考える『結婚しないかも知れない症候群』(主婦の友社)に共感する声も多く聞かれるうえ、共働きで家事・育児が全部自分の役目ならば、子どもは欲しいけれど夫はいらないという男(夫)いらない症候群など、女性の側からの結婚拒否とも受け取れるメッセージが送られている。

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結婚しないかもしれない症候群

1992年版本誌掲載。以下、

谷村志穂の同名のノンフィクションによる。結婚しないと決めたわけではないが、もしかしたら「結婚しないかもしれない」と考えて、マンションを買ったり、ガン保険に入ったりして、1人で生きる老後の準備をするなどの独身女性たちの風潮をいう。女性の晩婚化傾向の1つの現象につながる。

「バージニア・スリム・リポート1990」(同実行委員会、岩男寿美子委員長)によると、女性は「夫と妻が仕事・家事・育児を分かち合う結婚生活」を理想と考える人が58%に対して、男性は「男は仕事、女は家庭」と考える人が47%。男女間の意識のズレは、生き方の選択肢が増え、女性が結婚にメリットを感じなくなっているからといわれている。

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生涯未婚率

1993年版本誌掲載。以下、

50歳で結婚していない男女の人口に対する比率をいう。厚生省人口問題研究所が1990(平成2)年国勢調査をもとに、都道府県別に45〜54歳の年齢層を平均して生涯未婚率を計算したところ、東京に住む男性の場合には、10人に1人というわが国では初めての高い比率が出た。配偶者と死別したり離婚したケースは除かれているので、これは生き方の1つとして独身に徹した生活を続けてきた人たちの割合といえる。生涯未婚率の全国平均は男性が5・6%、女性が4・3%で、男性のほうが高い。10年前に比べると女性の生涯未婚率は変わっていないが、男性は倍増している。また若い世代ほど未婚率の増加が著しい。フランスやスウェーデンなどは、すでに10年前に40代後半の男性の未婚率が10%を超えているが、わが国の場合も、都会における独身男性の生活がしやすくなったこと、結婚にこだわらない女性が増えてきたことなど、結婚に対する価値観の変化が大きく影響しているとみられている。

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結婚離れ症候群

1999年版本誌掲載。以下、

「非婚・少子化現象」。1997(平成9)年の6月に厚生省が18歳から34歳の独身者7600人を対象に調査した結果、25歳以上の場合4人に1人が「結婚に利点がない」と考えていることが分かった。また、結婚しない理由としては「適当な相手がいないから」と答えたものが最も多く、25歳以上の場合男女とも約半数に達した。「結婚する必要性を感じない」という独身貴族傾向も強く、やはり25歳以上の3人に1人がそう考えているという事実も明らかとなった。ただでさえ晩婚化・少子化現象が進んでいる折から、ますます高齢化社会を支える若者の数が減るものと見られ、日本の将来に暗い影を投げかけている。

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