月刊基礎知識
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お金があることとステイタスの現代史用語集
 

バブルという滑稽さ

お嬢様ブーム

本誌1987年版収録

街角に立って「お嬢さまァ」とどなると、人波の中の若い女性のほとんどがふりかえる──ことほど左様にお嬢さまブームが社会的ムードになっている。この下地は<○金><○ビ>の社会階層化で、きっかけとなったのは、芦屋令嬢の誘拐事件である。これに女性週刊誌の浩宮の皇孫妃さがしと来日したイギリスのダイアナ妃の人気がブームをあおった。「お嬢様」は「お嬢さん」とはランクがちがう。その条件は、<1>家柄と住居、代々芦屋とが世田谷とかに住んでいること、<2>活け花、お茶、書道のたしなみがあり、出るところへ出ればキチンとしたことばづかいや礼儀作法を身につけている、<3>好きな色は白やピンク、紺などが、お嬢様ルックなどといわれる、<4>結局は気品、それは育った環境から自然とにじみ出てくるものだろう、<5>職業としては保母さん。これはダイアナ妃、あるいはマラソンの瀬古夫人の前職のせいかも知れない。

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バブルCM

本誌1994年版収録

山川浩二尚美学園短大教授の造語。商品イメージをかさ上げするイメージアップCM。商品について説明せず高級感を出すもの。実体を拡大するバブルCM。

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リゾート法

本誌1989年版収録

1987(昭和62)年6月に施行されたもので、正確には「総合保養地域整備法」という。週休2日制の普及などを背景に急速に高まりつつある国民のリゾートヘの欲求に応えるため、大規模なリゾート・レジャー基地を整備し、合わせて地域の振興を図るというもの。プランに民間業者を参加させ、しがも民間業者がかなりの規模の投資をすることが確実な地域に限って、国が税制や融資面でバックアップする、というのがこの法律の特色。

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余暇生活開発士

本誌1992年版収録

(財)日本レクリエーション協会が1991(平成3)年4月に設けた資格制度。労働時間の短縮で余暇が増えてもその過ごし方が分からない、という企業戦士たちに、その適性に応じた余暇の使い方を指導する人材を養成しようというもの。レジャーサービス業者や労働組合などの注目を集めている。

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ハイソ・カー 1

本誌1987年版収録

ハイソサエティ・カーの略。トヨタ・ソアラがシンボル的存在。マル金、マルビの波はクルマ風俗にも確実に押し寄せた。300万円を超す国産車を20代の若者が買う。独身貴族も2代目の時代に突入し,優雅な暮らしに小さな頃から慣れ親しんだヤングが定着した。女性誌では「J・J」に続いて,「25ans」が売れ,ハイソ志向を盛り上げている。お嬢様ブームは,ソフト化時代の反映であり,役に立たないものの象徴だった「お嬢様」のソフトウェアに最も高い値がついたのだ。そして、お嬢様を乗せるのにふさわしいクルマがハイソ・カーというわけである。

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ハイソ・カー 2  High society car

本誌1987年版収録

「高級志向車」。英語の「ハイ・ソサエティ」(上流社会)をもじった和製英語で、最近の若者たちの「高級志向」にターゲットを合わせた車で、トヨタのソアラ(最高価格483万円で、テレビやCDプレーヤーなどもついている!)が日本での引き金となったといわれている。世界的には西ドイツのBMW(ドイツ語ふうに”ベンベ”と発音するのがナウい)が「ハイソ・カー・ブーム」の最先端を走っており、「コンパクトでスポーティーで乗り心地のよい所がヤッピーの好みにピッタリきた」といわれている。

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ハイソする

本誌1987年版収録

ハイソサエティ・カーに乗る。ソアラ、ベンツ、BMWなどの高級車に乗る。上流生活をする。

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超高級車

本誌1991年版収録

国産車でも600万円から800万円という高級車、トヨタのセルシオや日産のインフィニティQ45、そしてスポーツカーではホンダのNSXといった高額のクルマが登場している。その他にはメルセデスベンツやBMW、ジャガーなど1000万円以上のヨーロッパの高級車が国内で販売を伸ばしているが、それらを圧倒的に上回る高額なクルマがジャガー社から発表となった。ジャガーXJ220がそれで、価格は29万ポンド。日本円に換算して約6670万円という。そして性能面では、最高速度が時速320キロメートル以上であり、乗用車としては世界で最も速いという。1台1台がオーダーメードで作られ、限定350台のみの生産となる。すべてにおいて既存の高級車を上回ることから超高級車と呼ばれるようになった。

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高級車チャンネル

本誌1991年版収録

自動車メーカーにはそれぞれいくつかの販売店系列がある。その中で、高級車を扱い、その下のクラスのクルマについてもデザイン、内容ともに質の良さを重視したクルマを扱う販売店系列を高級車チャンネルと呼んでいる。日産ではアメリカにインフィニティQ45を柱とするインフィニティ店があり、ホンダではレジェンドやNSXを扱うアキュラがある。とくにアメリカでは、ディーラーの出店に制約があるため、ニッサンでもホンダでもない別の名前の販売店を出すことによって、販売網を強化することにもなる。また、これまでの安くて壊れないクルマ=日本車のイメージを払拭する意味合いもあるだろう。

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高級ブランド商品

本誌1990年版収録

ダンヒル、ローレックス、シャネルといった超高級品が、市場に打ちたてたハイイメージのブランド、そしてこのブランドカによって市場での地位を伴っている商品の意味。海外渡航者が増え、こうした商品の海外における価格と国内でとの価格差が大きいのに気づき、消費者自身が、不満を漏らしはじめている。その理由は、<1>日本では輸入ブランド信仰が強い、<2>贈答用に購入されるケースが多いため、消費者が高価格に比較的甘い、といった点が指摘される。通産省の調査によれば、高級ブランド商品の日本における価格を100とすると、ニューヨーク62、パリ71、デュッセルドルフ73、シドニー95、ソウル115である。

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慣用語としての「バブル」

本誌1993年版収録

いわゆる経済事件としての「バブル崩壊」からは既に2年が経過しようとしているが、「バブルの崩壊」「バブルがはじける」というその言葉自体は、日常の慣用語として定着した感がある。

――最近、アソんでる?

――ううん、バブルはじけちゃってからさ、けっこう地味にしてる。

なんてやりとりをバブル崩壊とは関係なく親のスネをかじり続けている女子大生が何の気なく交わしていたりする。あるいは病院の待合室で老人が2人…。

――どうです、身体の調子は?

――いやぁ、バブルはじけてからさ、なんか胃の具合が悪くてね…。

「諸悪」はすべてここになすりつけられているようだ。

「戦後、〜が変わってしまった」というもの言いがある。

直接、太平洋戦争とは関係のない事象でも、すべて、古いものは戦前、新しいものは戦後、と区切ると説得力がある。「バブル」という言葉も、そのように時代を〈前〉と〈後〉に区分けする、都合の良い慣用句としてしばらく定着しそうな気配がする。

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バブル・クラッシュ  bubble crash

本誌1991年版収録

「あぶく経済の崩壊」。日本経済は実体のない“泡”のようなものだ、という見方から“バブル経済”という言葉が生まれてきたが、所詮は“あぶく”のようなものだからいつかはパチンとはじける。その結果、大恐慌(パニック)が引き起こされる危険性がでてくるわけだが、そのような崩壊現象をバブル・クラッシュという。つまり、すさまじい音をたてて crash(ガラガラと崩れる)するため社会全体がcrush(押しつぶされる)に追い込まれ結果となるのだ。

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バブル倒産

本誌1993年版収録

倒産の原因が不動産や財テク失敗によるもの。1991(平成3)年度の企業倒産の負債総額は史上最高で7兆7737億円、件数にして(負債1000万円以上)1万1767件であった(帝国データバンク)。これは、不動産、株価などの投資で経営破たんを招いたバブル倒産が増加したためで、不動産業者の倒産が過去最高の1121件となっている。また東京商工リサーチの調べでは、バブル倒産は1342社、負債総額は全体の3分の2に当たる5兆3000億円にのぼる。カネの出し手で目立つのはノンバンクで、銀行のカネを不動産投資へつぎ込む窓口となっていた。史上最大の負債額はノンバンクを通じ、結局銀行が負わざるをえず、ノンバンクの救済に苦しんでいる。

また、販売や輸出不振、不良債権の累積などが原因の「不況型」倒産の件数も、全体の39.2%を占めており、景気後退の影響も大きい。

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第3のバブル

本誌1992年版収録

株、土地に続く絵画。「壁にかかった不動産」といわれ、絵画市場の不透明な値決め、流通市場システムに乗じたマネーゲームがすさまじい。

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科学技術バブル

本誌1999年版収録

日本の科学技術予算が連続して増加していることを皮肉った言葉。1996(平成8)年度からの5年間で、総額17兆円を研究開発分野に国が投資する科学技術基本計画が96年7月に閣議決定されたのが予算増加の直接の原因。初年度の96年度科学技術関係経費は、前年度比12.4%増の2兆8015億円、翌97年度も同6.8%増の3兆28億円と、国の一般歳出の伸びが1、2%台にとどまるなかで高い伸びを示した。だが、98年度の予算額は同0.9%増の3兆309億円にとどまり、大学の附属施設などの運営・事業費がほぼ一律にカットされるなど、「バブル崩壊」の前兆現象も起きている。

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