月刊基礎知識
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お金があることとステイタスの現代史用語集
 

いまとなっては懐かしい豊かさ

プチ・ブル  → Petit bourgeois

本誌1951年版収録

資本家と無産者の両階級の中間にある階層で、小市民・中産階級などと呼ぱれる。階級としての独自の特色をもってていないが、思想上は資本家的な考え方に傾き、立場としては無産階級の生活に近よっているのが多い。こうした態度の悪い面を指してプチ・ブル根性という。中小商工業者・技術者・議員・自由職業者らを含み、多少とも教育を有する社会層。

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三万台

本誌1952年版収録

OSSカードをもつ外国人バイヤーの乗用車をいう。これらの自動車は最新型の高級車ばかりであり、GHQの許可をうけ、正規のルートで払下げられることになっているが、最近三国人名義でこれらの車を不正使用する”社長族””社用族”が激増し、現在東京都内を走っている三万台の車5000のうち、この種のものが4500台あるといわれ、警視庁がやっきになって取締っている。なお三万台がアメリカの払下げ品であることから転じて、外人風の顔付きとかギヤバ人種などのことを「あれは三万台だ」というふうに使われる。

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四万台

本誌1952年版収録

官庁用乗用車のナンバーであるが、夜ともなれば粋な街々にこの車が行列をつくり、三万台と覇を争う。このことより官僚一般の代名詞にも使われ、「社用族と四万台の宴会」など。

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社用族・公用族

本誌1951年版収録

会社や官庁の主催する宴会や、業者の招待で大番振舞をやるなどすべて社用と称して飲んだり、食ったり、さまざまな恩恵にあずかっている最近の役人や会社員を皮肉った言葉。戦後現われた斜陽族に代って最近はもっぱらこちらが横行している。官庁人種だけを公用族ということもある。

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サラリーマン重役

本誌1952年版収録

戦後の大変動、追放などで戦前の大物重役が退陣したのに代って、大株主でなくとも、社員の推薦などで登場した若手重役のこと。

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三等重役

本誌1953年版収録

サンデー毎日に連載された源氏鶏太作の小説。ベストセラーとなり、映画、芝居にもなった。戦後いままでの重役がパージになったあと登場した社員から思わぬ重役になつた“なり上リ”がかもしだすユーモアとペーソスが時流にマッチしたのがうけた原因で、以来、小会社のなり上り重役や、サラリーマン重役などを皮肉るのに三等重役を名をもってし、三等国、四等国日本を風靡した感がある。

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三等重役

本誌1987年版収録

昭和26年『サンデー毎日』連載の源氏鶏太「三等重役」に発する。源氏によれば一代で会社を築いた社長が一等、名門に生まれ帝王学を学んだ二代目社長が二等、戦後のドサクサで浮かび上がったサラリーマン社長が三等重役。戦後の混乱、朝鮮戦争による立ち直り、ほっとひと息のサラリーマン・ユーモア小説がこれだった。四等国ニッポンもぼつぼつ三等国かとも思う人心にマッチしたのがこのことばだった。

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高級ハイファイ族

本誌1956年版収録

音楽ファンの中でも、絶対、生の音を聞かねば承知しない階級。メニューヒン、レビなど世界的名手の来日や音響効果のすぐれたホールができるにおよんで楽器の生の音を聞く欲望が盛んになり、更に録音装置もハイ・ファイ化されたため、この種族が俄然ふえた。

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マダム零号

本誌1962年版収録

本妻を一号、めかけを二号と呼ぶが、これは本妻でも二号でもない特定の有閑婦人。経済的な関係は一銭もなく、ただ肉体関係をもつだけである。零号夫人ともいう。

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番町エリート

本誌1967年版収録

番町小学校→麹町中学校→日比谷高校→東大はエリート・コースのメインストリート。番町小学校はそのスタートラインというわけで、東京・千代田区立番町小学校へのあの手、この手による入学はあとをたたない。この小学校に入学したこどもたちのことを番町エリートという次第。

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ツーカー族

本誌1968年版収録

ツーといえばカー、のツーカでなく、「いいカーチャンといいカー(自動車)」を人生の2大目標にしている最近の若い世代の一部を指す。この種のことを女性側にいわせれば“家つき、カーつき、ババー抜き”となる。

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昭和元禄

本誌1969年版収録

戦後23年、打ちつづいた太平ムードを指していう言棄。太平安逸、奢侈遊惰な元禄時代の再現とばかりに、にがい顔の自民党幹事長福田赴夫の言葉という。たしかに、明治このかた20年余も戦争なしに平和を満喫したことはなかったはず。この太平ムードに日通事件から、フーテン・アングラ族の横行まで、まことに結構な時代ではある。

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マス・レジャー  mass leisure

本誌1960年版収録

大衆的な暇つぶし。ボート、水泳、テレビ、庭つくリ、国内旅行などアメリカ人が暇つぶしに費す金は年間410億ドルといわれ、これがアメリカ経済の異常な好況の原動力という。日本や西欧諸国もマス・レジャーの時代にはいったそうだから、国民が遊びを止めると恐慌になるんだとはありがたいご宜託。

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レジャー税(有閑税)

本誌1973年版収録

レジャー行為に課せられる税で、実際には料理飲食等消費税、娯楽施設利用税として徴収される。料理飲食等消費税は、料理店、バー、旅館などでの飲食、宿泊料金に、娯楽施設利用税はゴルフ場、マージャン、パチンコなどの使用料金あるいは施設にたいし課せられる。両税とも道府県税で、最近のレジャー・ブームにのりその伸びは著しく、この5年間に料理飲食等消費税は1.9倍、娯楽施設利用税は2.2倍となっている。ちなみに、両税の道府県税合計(44年度決算・2兆1110億円)に占める割合を示すと、料理飲食税は5.8%(1233億円)、娯楽施設利用税は1.3%(221億円)となっている。

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ホテル正月

本誌1977年版収録

大みそかから正月3日までをホテルで過す“正月パック”はちかごろのホテルのヒット商品だそうで、この1、2年、東京の主要ホテルは12月上旬には予約で満杯になる。予約客は医師、弁護士、中小企業経営者、大企業役職者など。正月に家にいると客がきて面倒だし主婦は疲れてしまう。家族水入らずで過したい人びとにホテルでの年越しは受けている。

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中流意識

本誌1978年版収録

昭和37(1962)年、国民生活センターが20代の人びとに10年後の自分を聞いたところ、“中流”と予想する人が83%いた。昭和47年になって、自らを“中流”とする人は30代に89%いた。つまり予想通りに中流階級が増えてきた訳だが、ところが、この中流階級が実際に増えてきた現在、かつての中流意識というものが大きな変化をみせている。かつての中流階層の特徴は、消費性向の高いことだった。物を買いこみ、どんどん消費することで上流に近づこうという上昇傾向が強かったのだが新しい中問層というのは“現在はそれでよい ”と、つまりこれ以上物もあまり使おうとしないし、新しい物を買いこもうとする傾向も少ない。これが低成長時代に適応した生き方であることは言うまでもないが、こういった意識の人たちを称して“新中間層”と呼んでいる。消費が高まらなければ商売にならないメーカーやデパートなどはやっきになってこの新中間層の新しい消費をうながそうとはしているが、底流に流れていた、物をより使い、より買いこむことでさらに高い階層へ近づこうとするかつての日本の特徴であった達成意識とか、上昇意識が少なくなっているだけに非常にむつかしい局面である。また、他人が買った物を自分も買う、他人の行くレストランヘ自分も行く、といったのがかつての右へならえ式の中流意識であったとすれば、新中流意識は自分に適した自分だけの欲しい物を買う、他人はなにを買っていようとかまわない、それをもし買う時でも、自分の好みというものを非常に重視するところが特徴としてあげられる。

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OL貴族

本誌1978年版収録

独身貴族ともいうが、この場合には男子も含まれる。親がかりで給料を自分の小遣いに使えるので世帯もちのサラリーマンにうらやましがられこの語が生れた。大阪の銀行の調査によると平均的独身OLは、年齢20〜24歳、月に7〜8万円の給料、家に1万2000円を入れ、貯金は2万6000円、残りは全額好きなことに使うとある。ボーナスで海外旅行をし、デートの費用は男性負担が多く、OLは金持ちで平均84万の貯金があるという。不況下でも若い女性向けの衣類アクセサリーは売れるので、OLをねらえとファッション界の合言葉。欧米にはこどもが成人したあと夫婦で外国旅行を楽しむ”老人貴族”がよく見られるが、日本では外国旅行を楽しむのは専ら独身貴族。

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カタログ小説

本誌1982年版収録

昭和55(1980)年文藝賞を受賞し、芥川賞候補作品ともなった、現役の一橋大生の書いた小説「なんとなく、クリスタル」は、ベストセラーとなって種々の話題を提供し、クリスタル派、クリスタル族の風俗的新語を生み出した。442の注をつけた特異・新奇さをもつ作品。内容は、海外駐在の商社マンの親と離れて、都心のコーポラスに男友だちと“共棲”して暮す女子大生を主人公とし、1匹1000円以上もする車海老を使って“クレーム・ド・クルベッシー”なる料理を作ったり、世界の一流ブランド品を身につけ、外国たばこを吸い、レコードのスタンダード・ナンバーを聴き、ディスコへ通い、高級レストランにいくといった、現実には実現不可能だが、空虚な中身を賛沢で華美な包装紙で包んだような若者の、風俗・様態が描かれている。有名なブティック、レストラン、一流ブランド商品名などふんだんに盛りこまれているところから、また、揶揄・諷刺を多分にふくめてこの呼称が生れた。

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