月刊基礎知識
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再び三たび流行する病気と健康の用語集
 

ニオイの健康・不健康

悪臭パネラー

本誌1984年版収録。以下、

悪臭公害摘発のため、採取した臭気を実際に鼻で嗅いで判断をくだす“悪臭評価判定会検討員”。悪臭防止法によると、アンモニアなど8つの指定物質が規制値を超えた場合は、発生源を罰することができるが、それ以外のにおいとなると、人によって不快であったり、そうでなかったりするし、また悪臭の客観的基準もない。そこで、地方自治体などが、住民の中から鼻の敏感な人を選んで、その判定値よって警告、指導しようというシステム。東京都、横浜市、泉大津市などで実施している。

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消臭ふとん

本誌1990年版収録。以下、

悪臭成分を分解する働きをする人口酵素を綿に付着させ、消臭効果を施したふとん。1988(昭和63)年、大和紡績によって製品化された。人間の体からは健康な人の場合でも汗、体臭、糞尿などのにおいが発散しており、一晩寝ると、締め切った室内などでは、かなり気になるにおいになる。寝たきり老人のいる家庭などから、この消臭ふとんは大歓迎され、ふつうのふとんの2倍以上の値段(上下セットで約5万円)のものが驚くほど売れている。この脱臭酵素を塗料の中に配合した消臭塗料もアイデア商品で、1度塗れば室内のタバコの煙や体臭を5〜10分で吸収、分解してしまい、その効果が1年間は続くというもの。一般に、生活の中の悪臭を瞬時に取り除く、家庭用の消・脱臭剤がここ数年来、非常な勢いで売れ行きを伸ばしている。従来は悪臭を活性炭に吸収させたり、合成した別の香りを発散して悪臭を打ち消す方法が中心だったが、これからは酵素が主役になりそうだ。

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マウスウォッシュ

本誌1990年版収録。以下、

口臭防止洗口液ともいわれ、歯みがきの後などに用いられる水ハミガキの一種。「お口クチュクチュ…」のテレビCMでブームになった。日本人は本来、においには敏感な民族。強い口臭や体臭はいやがられる。まして商談、会議、デートなどで人に接する距離が次第に欧米的に接近してきた現代生活では、不快な口臭を防止することは当然のエチケット。そこでモンダミン、リステリン、クイックスなどの類似商品が売れに売れている。いずれも成分は同じようなもので、溶剤としてのエタノールに各種の香料を加え、保存料として安息香酸が使われているものが多い。効果の続く時間は30分から2〜3時間ていど。口臭防止の基本はあくまで歯磨きであり、洗ロ液は補助的に使うことだ。

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抗菌防臭加工衣料

本誌1986年版収録。以下、

悪臭や汗くささの原因であるブドウ球菌や、水虫の原因となる白癬菌の発生を抑えるため、綿や化繊の原料あるいは製品を薬剤に浸して加工した衣料。下着、靴下、肌着からシーツ、カーペット、カーテンまで広く応用されている。昭和57(1982)年に敷島紡績が開発し、58年市場規模は約300億円にまで成長した。効果は半永久的ということだが、過去30年代にも、やはり衛生加工した靴下や肌着が売出され、このときは粗悪品が出回ったことから、業界は自主基準を作って、スポーツ分野などの衣料に限って、じっくり育てて行きたいと慎重である。

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抗菌防臭繊維

本誌1992年版収録。以下、

発汗に伴う細菌の増殖や悪臭の発生を抑制する繊維の総称。人体に無害で強力な抗菌作用を発揮する抗菌剤がポイント。ヒット商品となった紳士用靴下「通勤快足」、ブラウス「清潔美人」などの素材となった。ここ3年間、市場は年率20%ずつ成長している。1991年の市場は約2000億円。代表的な抗菌剤は銅。銅線を織り込んだ靴下や、銅箔製の靴の中敷きに防臭効果があることはかねて知られていたが、使い勝手や見た目が悪いという欠点があった。今、売り出しの抗菌防臭繊維は、銅の微小なリングを繊維の内部に織り込んだり、銅の錯体をポリマーの分子鎖に取り付けたりしてこれらの問題を解決した。銅以外の抗菌剤としては、多孔質の天然ゼオライトも用いられる。汗が繊維に染み込む前に物理的にゼオライトで吸収して、細菌に増殖の余地を与えない。新顔は、エビ、カニなどの甲殻類の殻から抽出した「キトサン」。食品添加物や医用材料として注目されている吸水・保水性のバイオマテリアルだが、抗菌性も相当なもの。何より加工性に優れる。スポーツウエア、下着、おむつカバーなど様々な製品が発売され始めた。

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加齢臭

本誌2000年版収録。以下、

若い女性に嫌われる中高年のにおいは、これまで口臭や汗、わきの下のにおいと考えられていたが、これは中高年とくに男性特有の体臭であり、元凶になるノネナールという成分が資生堂と高砂香料工業の共同研究で発見された。ノネナールは20代、30代の体臭からはほとんど検出されないが、40歳を過ぎたころから急に増えてくる。中高年になると皮脂中に増えてくる9−ヘキサデセン酸という脂肪酸が酸化分解されて生ずる成分で、とくに背中や胸などに多く発生する。男女150人を対象としたアンケート調査によると、気になるにおいは口臭に次いで第2位がこの中高年に特有の体臭だったという。「加齢臭」(aging note)と命名、その発生を抑える防臭化粧品(デオドラント deodorant)やシャンプーなども開発されて、1999(平成11)年9月に生活改善商品として発売された。なおこの加齢臭、中高年になって出てくる体臭だけではなくて、がんをはじめとする病気のときに発生するにおいとも関連するのではないか、という研究が進められている。皮脂の老化によって現れるにおいが、細胞の老化である病気のさいに発生するにおいと共通するところがあるというわけだ。ノネナールの増加は体中の細胞の老化も進んでいることを知らせる注意信号かもしれない。

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アロマセラピー  aromatherapy

本誌1991年版収録。以下、

芳香療法。エステティック業界で、いま一番注目されているもの。神経を鎮静させる効果のある芳香薬草を選んで、美容機器にセットし、蒸気で香りを出す。香りは大脳に働き、ストレスを緩和し、質の高い眠りへとさそう療法。極度の緊張がつづく仕事にたずさわる人、たまった疲れをとりたい人の間で、ブームをよんでいる。この他、タラソセラピーや、冥想音楽によるストレス解消法など、いまさまざまな療法が行われている。お金と時間をかけてストレスを取り除く時代の到来である。

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