月刊基礎知識
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再び三たび流行する病気と健康の用語集
 

アレルギーとアトピー

過敏性体質

本誌1949年版収録。以下、

刺戟に対する生体の組織の感受性と反応性とが、持続的に強く亢進した状態。この体質の中に滲出性体質、リンパ性体質などが含まれる。一般に皮膚や粘膜に湿疹や蕁麻疹やカタルなどが生じやすく、リンパ節(腺)が腫れる。思春期以前においては結核症に対する抵抗性が強いため、これに感染しても、腺病質や骨または軟骨結核などの良性肺外結核が多い。成年以後は、気管支喘息、リウマチス、片頭痛などが起りやすい。

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過敏性体質

本誌1959年版収録。以下、

特異体質ともいう。生れつき一般の人より、ある物質に対して過敏で、それがために病的症状を現わす性質を指す。たとえばある薬をのむと、必ず皮膚が赤くかゆくなるのはこの体質である。激しい症状としては、普通に使われる薬の注射で死ぬことがある。最近ではこのような体質をアレルギーとして解釈する学者が多い。

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アレルギーとアレルギー反応  allergy[英] Allergie[独]

本誌1980年収録。以下、

人体反応能力の変化。広い意味における抗原抗体反応に含まれる。結核にかかると、以前陰性だったツベルクリン反応が陽性になる。またBCGの接種によっても、この反応は陽性に転じる。すべてこのように、ある物質にたいして、なんらかの形で接触し、かつ感作されたことにより、その物質にたいする人体の反応の仕方が従来と変わった状態をアレルギーという。これがアレルギー本来の意味であるが、ある物質にたいして、一般の人より過敏で病変を起こしやすい場合、この言葉が一般には用いられている。じんましん、気管支ぜんそくなどは、それぞれの物質にたいするアレルギー反応(抗原抗体反応)と考えられている。

※初出は1949年。

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特異的減感作療法  Specific Immunotherapy

体内への侵入を回避できないアレルゲンによって引き起こされるアレルギー疾患の治療法。そのアレルゲンを、患者の体内に徐々に注入し、抗原に対する免疫担当細胞の反応性を変化させることによって、諸症状を緩和しようとする試みだ。アトピー性喘息、アレルギー性鼻炎、花粉症などで有効性が確かめられている。ただ、治療効果が出るまで長期間、2〜3年を要すことから、治療中断となるケースが少なくない。

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アトピー皮膚炎(1960)

本誌1960年版収録。以下、

子どものひじやひざの屈面の皮膚が厚くなり、膚目があらくなり激しいかゆみを起こす頑固な皮膚病。先天的な体質に関係の深い病気で、ぜん息やじんましんの家系の子どもに多くみられ、ぜん息性痒疹またはベニエ(Besnier)氏痒疹とも呼ばれる。

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アトピー性皮膚炎(2002)  Atopic dermatitis

本誌2002年版より。以下

アレルギーによって起こる皮膚炎の代表的なもの。「アトピー」という言葉はギリシャ語のatopos(奇妙な)からきている。その名前が示すとおり、この「奇妙な病気」の真の原因は1980年代半ばまではまったくわからなかった。現在では、「IgE抗体とアレルゲンとの免疫反応に基づく症状を呈する遺伝傾向が強いアレルギー性疾患群」と定義されている。皮膚表面の乾燥とバリア機能の異常により炎症を起こし、その炎症がさらにバリア機能を破壊。強いかゆみをかくため、さらにバリアが壊れるという悪循環に陥る。アトピーの発症には微生物や化学物質、ストレスなど複数の要因がからみ、患者はひとつだけでなくいろんなアレルゲンに反応することが多い(多価アレルギー)。最近の調査では、洗濯機の中のカビ胞子なども注目されているが、最も重要なアレルゲンは、カーペットや畳、ソファなどにたくさんいるヒョウ・ダニとされている。治療はなかなか難しく、アレルゲンの排除や日常的なスキンケアとともに「心のケア」も重要である。また、薬物療法としては副腎皮質ステロイドホルモン外用薬の塗布が行われるが、99(平成11)年には、臓器移植の拒絶反応を抑える免疫抑制剤「タクロリムス水和物」の軟膏が新薬認可された。しかし、これも特効薬とはいえず、過度の期待は禁物だ。

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アトピー性体質

本誌1979年版収録。以下、

アトピー性皮膚炎のできやすい体質で、小児湿疹と同じような症状と考えてよいが、湿疹が1歳を過ぎてもなおらず、幼児期に及ぶものを言うことが多い。症状の特徴は、皮ふが厚くなってその中にすじがはいり、ほかの部分が盛り上ったようになり、かゆく、慢性化しやすい。アトピーとは「不思議な病気」の意味で、体質という以外にははっきりしたことがわかっていない。アレルギー性の皮膚炎とも解釈されているが、それだけでは説明できない面がある。治療法には適切なものがないが、学齢期になると、80%の子どもは自然に治癒する。

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花粉症  Pollinosis

植物の花粉が原因となって起こるアレルギー性疾患。花粉の感作で抗体が産生されたところに、再びアレルゲン(花粉)が侵入すると、抗原抗体反応によりヒスタミンなどの化学伝達物質が遊離される。それによって、主に鼻症状(鼻のかゆみ、鼻汁、くしゃみ、鼻づまりなど)、眼症状(眼のかゆみ、流涙、結膜炎症状など)、咽喉症状(のどのかゆみ、不快感、咳など)などが出現する。以前は「枯草熱(こそうねつ hay fever)」とよばれ、サイロに牧草を入れるときに鼻粘膜のかゆみと痛み、くしゃみ、涙などの発作を起こすものをさし、欧米では、昔からよく知られていた。

わが国でブタクサ花粉症がはじめて報告されたのは1960(昭和35)年。そして、近年多発するようになったスギ花粉症は、64年ごろから現れ始めている。このスギ花粉症は日本独特で、ほぼ全国に広がり、年々増加している。ここ10年間では、91(平成3)年および95年春に全国的に大発症がみられ、不思議なことにスギの木の見られない都会地でもスギ花粉症が多発している。花粉症の頻度について、まとまった研究はないが、アメリカの花粉症(大部分はブタクサ花粉症)の頻度は人口の2〜3%と推定され、わが国の花粉症患者は2000万人ともいわれている。なぜ短期間のうちにわが国で花粉症がこのように拡大したのか。その理由は、諸説あるがいまだによくわかっていない。

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顔ダニ  follicle mite

「ニキビダニ」ともいわれ、正式には「毛嚢虫」とよばれる寄生ダニの一種。毛嚢(古い名称で現在は毛包という)とは皮膚の中に入り込んだ毛の部分で、俗に毛穴といわれるところ。この部分に顔ダニは常在しており、成人なら100%の確率でだれにでもいるが、健康な皮膚であれば症状を起こすようなことはない。それどころか、人間の脂肪分をエサにして皮膚を酸性に保つ働きをして、ほかの病原微生物の侵入を妨げる働きをしてくれる。ところが、極端に洗顔しすぎたり、逆に不潔な状態を続けたりすると、皮膚の酸性状態のバランスがくずれ、顔ダニが皮膚表面に出てきてニキビ状になることがある。

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サルモネラ菌

本誌1958年版収録。以下、

桿菌の一種類。食物中毒をおこすことが多いので重要である。ゲルトネル菌、鼠チフス菌、パーラチフス菌等がこれに属するが、このほか、はなはだ多類の菌種があり、最近、その研究がいちじるしく進歩して、菌種の数もますます増加する傾向にある。

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