月刊基礎知識
月刊基礎知識トップページへ バックナンバーへ
収穫の秋!味覚の秋!がやってくる
―― …“食”と“農”の基準と単位
著者 白鳥 敬

食と農をテーマの基準と単位

果物の“甘さ”その基準は?

―― どうして切ったり割ったりしてないものの甘さがわかる?

ぶどうだってみかんだって甘いほうがおいしい。果物の甘さの秘密は、果糖。果糖にはα型とβ型があって、β型の方がα型より3倍も甘い。果糖は冷やすとα型からβ型に変化するので冷やすと甘みが増すといいます。

ところで、果物の甘さは、糖度計で計ります。サンプルを少量センサーに乗せるだけで、甘みを測定できるものです。糖度計は、屈折率の違いを利用して糖度を測定していますから、果実に含まれる糖分は果糖・ショ糖などすべての糖分をいっしょに測定します。それでも、果物の甘さは十分わかるそうです。

最近は、近赤外線を使った、非接触型の糖度計が登場し、まったく果物を壊すことなく糖度を測定できるようになっています。

おいしく食べられる糖度の基準は果物の種類によっても違いますが、マスクメロンで、15−16度、みかんで13−14度以上がたいへん甘くておいしいそうです。

ページの先頭へ 戻る

米の収穫量

―― 加賀百万石の米ってどれくらいの量?

日本の米の収穫量は、2001年で904万8000トン。日本人の米の消費量は、一人あたり年間64.6キログラム(2000年)といいます。これは、1962(昭和37)年の118キログラムと比較すると、2分の1近くにまで落ちています。

ところで、米には、いまだに、尺貫法という古い単位系が残っていて、ごはんを炊くときは、いまだに「何合炊く」という言い方をしますね。1合=約180立方センチメートルで、米の重さにすると約150グラムに相当します。米俵の「俵」も米に関する単位のひとつです。米1俵は、ふつう4斗(=40升=400合≒60キログラム)。ただ俵という単位は統一されたものではなく、4斗5升入りの俵も用いられました。

江戸時代までは、加賀百万石などといわれるように、米の「石(こく)」で、大名や武士の〈力の強さ〉を表していました(知行高)。石は、重さではなく体積の単位ですが、重さに換算すると、一石=約150キログラム。当時は一人が1年間に消費する米の量が一石といわれていました。尺貫法は、1959(昭和34)年以降、取引では使えなくなっていますが、身近なところに日本文化のひとつとして残っているというよい例です。

ページの先頭へ 戻る

田んぼ1つからどれくらいの米が収穫できる?

日本人の米の消費量は、一人あたり年間64.6キログラム(2000年)といいますが、一人が1年間に食べる米を作るのにどれくらいの広さの田んぼが必要なのでしょうか。

10アールの面積の田んぼで獲れる米は、約500キログラムといいますから、64.6キログラムの米を収穫するには、約130平方メートル(11メートル四方)のたんぼが必要になります。ちょうど家一軒分くらいの土地があれば、一人が1年間に食べる米を収穫できるというわけです。もし、家族が4人だったら、家4件分の土地が必要になります。稲作にはけっこう広い土地を必要とするものですね。

ページの先頭へ 戻る

米の作況指数

稲が「豊作」とか「凶作」とかいう。これは作柄を示す言葉です。作柄は、作況指数によって、「良」「平年並み」「不良」等と判断します。

作況指数は、米の作柄の度合いを示す指標です。「10アール当たり平年収量」に対する「その年の10アール当たり収量」の比率のことです。

作況指数 =(10アール当たり収量/10アール当たり平年収量)×100

作況指数作柄
106以上
102−105やや良
101− 99平年並み
 95− 98やや不良
 91− 94不良
 90以下著しい不良

ことしの作柄はどうでしょうか。

ページの先頭へ 戻る

有機・無農薬・低農薬…の基準と数値

先だって、海外産の野菜で、基準を超える農薬が使われていることが問題になりました。日本では、無農薬栽培への消費者の関心が高く、「有機栽培」をうたった野菜が多く市場に出ています。従来は有機栽培の基準がとくにありませんでしたが、日本農林規格(JAS)法が改正され(2001年4月1日から実施)、現在、農産物の表示は次のように行われています。

  • 有機農産物:3年間、農薬や化学肥料を全く使わない農場で栽培されたもの。
  • 無農薬栽培農産物:農薬を使っていないもの。
  • 無化学肥料栽培農産物:化学肥料を使っていないもの。
  • 減農薬栽培農産物:農薬の使用回数が半分以下のもの。
  • 減化学肥料栽培農産物:化学肥料の使用回数が半分以下のもの。

高温多湿の日本では害虫がつきやすく、完全に無農薬で作るのは実際はかなり難しいらしいです。

ページの先頭へ 戻る

「塩分控えめ」って何%?

塩分の取りすぎは成人病を招くので、控えたほうが無難。というわけで、巷には、「減塩」をうたった食品があふれています。この「減塩」表示の基準はなんでしょうか。

「減塩」表示がある食品は、食塩の含まれている割合が、普通の製品の50%以下のものです。塩分が半分になると、ほとんどしょっぱさを感じないような気がしますが、読者のみなさんはいかがでしょうか。

一方、「甘塩」「薄味」「塩分控えめ」などの表示には、基準がないそうです。「減塩」だろうが、「塩分控えめ」たくさん食べれば、同じことですから、基本は食べ過ぎない、ということなのかもしれません。

ページの先頭へ 戻る

米よりもち米は高カロリー?

中秋の名月といえばススキとお団子。お団子を、もち米で作るのか、うるち米(普通のご飯にする米)で作るのかという議論はさておき、もち米とうるち米は、ずいぶん異なった性質をもっています。

まず、カロリーが大きく違います。うるち米100グラムにつき147カロリーの熱量を持ちますが、もち米は100グラムあたりは235カロリー。そのうえ、もち米はうるち米より消化がいい。

だからといって、お餅の食べすぎには要注意ですが。

ページの先頭へ 戻る

農地の広さをはかる単位

---アール、ヘクタール、エイカー、町歩…

最近は、農村へ行っても、小さな田んぼがなくなり、アメリカ式の大きな「農場」に作り変えられています。

土地の広さは、メートル法を使用している現在でも、昔ながらの単位が併用されています。坪(歩ともいう)という単位は、今でも、土地の大きさを表すには都合のよい単位です。ちなみに、1坪は、6尺(約1.82メートル)平方の面積をいいます。メートル法で言うと、約3306平方メートル。

農地などに用いるアール(a)は10メートル四方。ヘクタール(ha)は、アールに100を表す接頭語h(ヘクト)をつけたメートル法の単位で、1ヘクタール=100アール。エイカー(acre)は、ヤード・ポンド法の面積の単位で、22ヤード平方(約4046.9平方メートル)。町歩(町ともいう)は尺貫法の面積の単位。1町歩は3000歩です。

田んぼの大きさは、反(たん)などといった単位で表していましたが、大きな農場になると、やはりアールやヘクタールという単位を使ったほうが便利かもしれません。ちなみに1反=10分の1町歩=10畝=300歩

ページの先頭へ 戻る

食といえばお酒…

---度数・日本酒度・甘い辛いってどういう意味?

秋の夜長はおいしいものを食べながらおいしいお酒を飲む。これに尽きるかもしれません。アルコールに弱い方はアルコール度の低いお酒がいいのですが、どこを見ればいいのでしょう。容器に「度」と書いてあるのがそれです。酒税法でいうアルコール分とは温度15℃のとき原容量100ml中に含まれるエチルアルコールの容量(ml)のことで、「度」とはいいますが「%」のこと。15度ならアルコール分が容量にして15%含まれているという意味です。

また、日本酒では、甘口・辛口の選択が、食事とのコンビネーションで重要。甘さは、含まれる糖質の量によって決まります。この糖質の量の度合いを表す単位を「日本酒度」といいます。糖質が多いと比重が大きくなり、糖質が少ないと比重が小さくなります。この比重を日本酒度計という比重計で計って日本酒度を出します。マイナスが甘口、プラスが辛口となります。

ページの先頭へ 戻る

缶コーヒーの表示 無糖 微糖ってどういう意味?

いまや、缶コーヒーは缶入り飲料の代表のようになっていますが、缶コーヒーには、「コーヒー」「コーヒー飲料」などの種類があるのをご存知でしょうか。これは、使用しているコーヒー豆の量によって決められています。もっともコーヒー豆の多いのが「コーヒー」、ついで、「コーヒー飲料」「コーヒー入り清涼飲料」です。このほか、牛乳を主とした「コーヒー牛乳」があります。

また、最近は、糖分の取りすぎに注意が払われていて、甘すぎる飲料は敬遠される傾向にありますから、甘さの度合いを示す表示もされています。

「微糖」と表示されているものは、糖類が100グラム当たり、2.5グラム以下。「無糖」という表示のものは、100グラム当たり0.5グラム未満です。

「微糖」の缶コーヒーでも糖分は入っていますから、飲みすぎると、同じことですから注意が必要ですね。

ページの先頭へ 戻る
All Right Reserved, Copyright(C) ENCYCLOPEDIA OF CONTEMPORARY WORDS