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サッカーW杯にみる世界の人びとからキーワード
執筆協力 編集工房インデックス

フランス人

おんどり

フランスのシンボル。サッカーやラグビーのナショナルチームの胸章にもこれが入る。ラテン語でいうフランス鶏とゴール人(ガリア人つまりフランス人)が同音異義語の「ガルス」であるというなじみによる。雄鶏は新しい1日の到来を告げ、雌鳥を誘惑して子を生ませるとともに、敵を撃退し、高らかに勝利を謳う。勇ましく、お喋りで快活、見栄っ張りというイメージをフランス人も気に入っているのだろうか。無条件にはカッコいいとはいえない動物を自分たちのシンボルにしている。

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シャンパン・サッカー

フランス人のサッカーの通称。1980年代、ミシェル・プラティニ(1955〜)を中心とした選手たちが、まるでシャンパンの泡のように華麗で奔放なパスを回すゲームメイクのこと。パスゲームとしてのサッカーの極地といわれる。「スペクタクルなゲームをして勝たなければ、フランスの観衆は満足しない」とはプラティニの弁。同様、一世を風靡したフランス・ラグビーも華麗なパスまわしと個々人のひらめきを重視してシャンパン・ラグビーとよばれた。やはりフランス人はシャンパンなのだろう。

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ナポレオン・ボナパルト(Bonaparte Napoleon)

1769-1821。フランス史上、最大級の英雄。革命派の下級将校から身を興す。1799年、ブリュメールのクーデターを起こして、執政政府を樹立。1804年に皇帝となる(第一帝政)もモスクワ遠征に失敗し、1814年退位。エルバ島に流されるが、翌年脱出。ワーテルローの戦いで敗れ、セント・ヘレナに流され、そこで死亡。コルシカ生まれでイタリア訛りの強いフランス語を話す小男を“代表”に選ぶフランス人は、天才(じつはなみなみならぬ不断の努力によるとしても)が好きだ。フランス人で天才肌でリーダーシップの強い男がでた場合、“××のナポレオン”である。

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マリアンヌ(Marianne)

フランス共和国のシンボル。フランス革命により国王が処刑され、その代わりに“自由の象徴”として国民に親しまれてきた古代の女神。フリギア帽という型の帽子(これも自由の象徴)をかぶった姿で表されるのが常。貨幣のデザインにも登場する。ドラクロアの《民衆を導く自由の女神》では胸をさらし、NYの自由の女神のモデルにもなっている。フランスという国家のシンボルはやはり女の人だ。

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ジャンヌ・ダルク(Jeanne D'arc)

1412-1431。対イギリスの百年戦争(1338-1453)におけるフランス救国の英雄。羊飼いの娘だったが、「祖国を救え」という神の声を聞いて、1429年、オルレアンでイギリス軍を撃退。皇太子シャルルの戴冠を助けた。だが1430年、敵軍の手に落ち、翌年、宗教裁判によって魔女として火あぶりの刑に処された。スポーツ選手などでフランス人の気丈な少女はすぐ“現代のジャンヌ・ダルク”にされるが、それは安易すぎる。

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ゴーリズム(ドゴール主義)

1959年から10年間にわたってフランスの大統領を務めたシャルル・ドゴール(1890-1970)の外交方針。フランスの栄光と偉大さを強調するフランス第一主義であり、米ロ(米ソ)といった超大国に対抗するヨーロッパ主義。もっとも「ドゴール派であろうとなかろうと、フランスの政治家はすべてド・ゴール主義者だ」ともいわれる。第2次大戦後、植民地と経済的影響力をどんどん失っていったフランスにとって“国力”を維持するための最大の資源のひとつがこの種の「強がり」であって、フランス人政治家がすべてド・ゴール主義者であるのもうなずける話である。

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エスプリ(esprit)

本来、機知、才気を意味する一般名詞で、「肉体」に対する「精神」の意だが、フランス人特有の機知をさすようになった。明晰さがフランス的とされることから、エスプリも明晰・直截で鋭く、しかも理知的であることが理想とされる。ユーモアが客観的であるのに対し、エスプリはあくまで主観的な明快さが特色。こういう微妙な感覚は他国民には区別しがたく「フランス人が言っているからエスプリ」だったりもする。

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