月刊基礎知識
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日本の政治が語れる常識・知識事典
政治家がどこを向いているかわかる事典
執筆   斎藤信義 (ジャーナリスト)

二世議員の父親

田中真紀子/田中角栄

政界の「闇将軍」と言われ、最強・最大の田中派を創りあげた元首相。無類の行動力、人心掌握術があり、学歴がないにもかかわらず58歳で首相の椅子を獲得した。日中国交正常化を成し遂げ得意の絶頂にあったが、金脈問題により退陣する。その後、ロッキード事件で逮捕・起訴されるが一貫して無実を主張した。高級官僚の誕生日をすべて覚えていてプレゼントを贈るなどの細かい心配りもして、官僚機構を手なづけたのも田中の得意技である。

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石原伸晃/石原慎太郎

一橋大学在学中に書いた小説「太陽の季節」で芥川賞を受賞して小説家となる。68年、自民党から旧参議院全国区へ出馬し、300万票を獲得し第1位当選。72年からは衆議院に転じる。故三島由紀夫との交友、青嵐会への参加など右派的行動で注目を集めた。国会議員としては大成せずに引退したが、東京都知事として政治の場に復活している。

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福田康雄/福田赳夫

大蔵省主計局長を経て、衆議院議員。岸派幹部を経て派閥継承し福田派を結成。議員に立候補するときに自民党にするか社会党にするか迷ったほどで、右派の岸派出身らしくない柔軟さが本性。田中との政争に敗れたが、その後田中の協力を得て首相になる。しかし再び、田中の手により首相の座を奪われる。党員選挙の結果によるもので、その時のセリフ「時には天の声にも変なものがある」は、福田のユーモアセンスと潔さを表している。

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安倍晋三/安倍晋太郎

父・寛も衆議院議員だったが、岸信介の長女と結婚したことから政界への道が約束された。毎日新聞記者を経て衆議院議員。福田派に参加するが、当時から「福田派のプリンス」と目されていた。田中派の竹下昇とは同期当選のよしみから盟友となり、「怨念のないニューリーダー」を共通の目的とするようになる。党・政府の要職を歴任した後、中曽根後の首班指名で竹下と争うことになる。それでも竹下との盟友関係は壊さず、竹下政権を支えた。この人の良さが魅力ではあり、同時に“プリンス・メロン”と言われる甘さにつながっていた。

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橋本龍太郎/橋本龍伍

大蔵省入省後、吉田茂に見いだされ「官僚自衛隊」の一員として官房次長に抜擢される。その後、衆議院議員となり、吉田内閣の厚相兼行政管理庁長官になり、公務員13万人削減構想を指示した。その後も厚相、文相などを歴任。足が不自由だったことから、肢体不自由児協会などの役員も歴任した。

[★橋本政権〔1998年版 政党〕]

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小泉純一郎/小泉純也

父・又次郎は戦前の民政党国会議員で、浜口内閣、若槻内閣で逓信大臣を勤め、後に貴族院勅選議員となっている。純也は又次郎の後を継いで国会議員となったが、議員としては大成しなかった。大臣適齢期にも望んでいた重要閣僚の椅子を与えられず、軽量の防衛庁長官の座しか得ることができなかったという事実がすべてを表している。人がよく、地元でも「男前の純也ちゃん」というような評価であった。

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後藤田/後藤田正晴

警察庁長官退官後、田中角栄首相に請われて内閣官房副長官に就任する。その後、衆議院議員となり、自民党・政府の要職を歴任する。情報力、政局を読む目、行政を動かす力に優れ、党内で影響力は大きなものであった。内務・警察官僚出身であったことから「日本のアンドロポフ」「カミソリ後藤田」などと恐れられていたが、事実はバランスが取れた保守政治家である。右翼的な政治改編には歯止めをかけ、国家主義的な発言には苦言を呈するなどの活動を、引退後の現在も行っている。

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渡辺善美/渡辺美智雄

県議を経て衆議院議員となる。73年、タカ派政策集団「青嵐会」を結成した際に血判状を取って話題となる。党・政府の要職を歴任後、中曽根派を継承して渡辺派を結成。首相の座は手に入れることはできなかったが、明るいキャラクター、栃木弁の演説は人気があった。反面、「黒人はパー」「野党支持者は知能指数が高くない」などの失言が多く、物議をかもしたことが再三あった。

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浜田 /浜田幸一

“ハマコー”の愛称で親しまれていた政界の暴れん坊。党内の会議で椅子を投げつけるなどは序の口で、国会の委員会での「この強姦野郎」発言、予算委員長でありながら委員の発言を差し止めての「殺人者」呼ばわりなど、問題行動は数えきれないほど。一時ラスベガスの「とばく事件」に関係して議員を辞職するなど、ついに大臣にはなれなかった異色政治家。元極道を隠しもしないで、こわもてで通したハマコーだが、ユーモアたっぷりの可愛い笑顔が妙に憎めないキャラクターで、政界の名物男であった。

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