売れてる本を快読するマンスリーガイド
この国で1年間に刊行される新刊は7万5000点余。1カ月に6200冊、1日205冊の新刊が生み出されていることになります。1日205冊。睡眠や食事のいらない読書ロボットならば7分ごとに1冊こなすことで読破できる勘定ですが、人類の場合そうは行きません。そこでこの連載、忙しい人類のために、ベストセラー一覧から毎月数冊をご紹介しましょう。
紀伊国屋書店総合1位、honto総合ランキング7位、AMAZONランキング(2月末現在)総合10位、と3つの統計でトップ10に入ったのが『医者に殺されない43の心得』です。著者は「現代用語の基礎知識」の「がん用語」執筆でおなじみの近藤誠先生。数々の著作で日本の医学界に問題を投げかけ続けている近藤先生が、また挑発的なタイトルの本をと思って読み始めると、納得することばかりで怖くなります。
honto総合ランキング1位、AMAZONの総合5位に入ったのは『ビブリア古書堂の事件手帖4 〜栞子さんと二つの顔〜』。シリーズ4作目は長編となり、乱歩の世界をめぐりながら、主人公と母の謎も明かされます。
そして今月は、なんと詩集の登場です。AMAZON総合4位にランキングされたのが『自選 谷川俊太郎詩集』。自選詩集だが、選び方に工夫があり、見事に時代と自分(=読者)を語る1冊になっています。
文庫化でもhonto総合ランキング3位に入ったのが、ベストセラー作家東野圭吾の『カッコウの卵は誰のもの』。相変わらず寝食を忘れて読んでしまう小説です。
ビジネス書では、紀伊国屋書店の総合8位が『JAL再生』です。経営再建を果たした稲森イズムとはどんなものだったのかが、余すところなく描かれます。
そして新書とは思えないずしりとした読み応えがある『おどろきの中国』。歴史から文化大革命、そして今まで、3人の論客が語りつくします。
最後は紀伊国屋書店総合2位の『置かれた場所で咲きなさい』。弱冠36歳でノートルダム清心女子大学学長となったが、その重責に苦しんだりもした著者のたどりついた心境が、優しい言葉でつづられ、すでに100万人の心を打っています。
今月も「読んだつもり」になると同時に、いつかは手に取って欲しい8冊です。