月刊基礎知識
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2006年10月号
景気がどれだけ回復したかは人それぞれの感覚だという特集
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感覚と心理に関する単位と数値のお話

感覚と心理に関する単位と数値のお話 寺田寅彦の『空想日録』の中に次のような一節があります。「いろいろな周期に対する感覚限界の振幅を求めてみると、おもしろいことには被試験者のそれぞれに固有な一定の周期のところで感覚が最も鋭敏である。(途中略)その特別な周期が各人の身体の構造の異同で少しずつちがい、それが結局は各個人の、腰掛けた位置に相当する固有振動周期を示すものらしいということである」(周期は原著では週期と表記されている)。体の大きさによって、人それぞれの固有の周期があり、地震の揺れも人によって強く感じる周期に違いがあるということです。今回は、人の感覚に関する単位や尺度がテーマです。

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袋小路派の政治経済学*第8講[派遣]

袋小路派の政治経済学*第8講[派遣] 「景気は本格回復」などという大本営発表が続いていますが、大多数の一般国民の生活実感とは大きな隔たりがあります。理由は簡単、その粉飾報道の根拠となる数値の大半が、企業活動に関連する数値であるためです。そして、その企業業績を上向かせた最大の要因はと言えば、それまでの原則禁止から原則自由へと180度の転換を見せた、労働者派遣法の大改正でした。さて、「袋小路派の政治経済学」第8講。この「企業の救いの神」である労働者派遣が「日本経済の救いの神」なのかどうか、今月はここを見ていくとしましょうか。まあ、だいたい、結論は見えてますけど。

執筆者:土屋 彰久

生き物たちから危険の感覚を学習する

生き物たちから危険の感覚を学習する 少し前の話題になりますが、東京・上野公園にある不忍池で66cmほどの大型なカメが発見されてニュースになりました。日本人はカメとなかよく付き合ってきた歴史があるので、普通なら驚く話ではありませんが、このカメはかつて日本で繁殖記録のなかったワニガメだったので大騒ぎになったのでした。現代の日本人の生活は危険な生物たちとはほとんど無縁なところで成り立っています。しかし、国際化と温暖化という環境変化は生態系を破壊して、新たな危険は目前に迫っています。「The sense of danger must not disappear」(危険の感覚は失せてはならない)と書いたのは英国の詩人オーデンですが、今月は忘れかけた危険の感覚を取り戻してみましょう。最近出版された『あぶないいきもの』という本の中からいくつかポイントを紹介して行きます。

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