袋小路派の政治経済学*[天下り]
この夏、「天下り規制撤廃」の見出しが新聞の一面に躍りました。それも「改革」として。さすがに呆気にとられましたよ、私も。政府・与党側の説明によると、代わりに「口利き」規制を強化するから、問題ないんだそうです。へー、じゃあ、殺人や強盗の規制を強化すれば、拳銃の所持を合法化しても問題なさそうですね。最高刑には死刑まであるのに、凶悪犯罪は減るどころか増えるばかりです。児童相談所が手をこまねいている間に、毎日のように子供たちが虐待で殺されていきます。それだって、虐待規制を強化すれば、児童相談所自体が不要になって、それはそれは素晴らしい「改革」になるんでしょうね。でも、こんな無茶な「改革」が出てきたのには、それなりの理由もあります。表向き、既得権益の破壊を掲げてきた小泉政権でしたが、裏では官僚べったりでした。金看板の「郵政民営化」でさえ、郵政官僚にだけは、民営化後も盤石の地位や利権を保証することで懐柔し、「抵抗を排除した」というのが実情です。そんな小泉政権ですから、お世話になりっぱなしだった官界にプレゼントを出さないわけにはいきません。ということで、もちろん、「口利き規制は強化するから、立派な改革だ」という言い訳も官僚から考えてもらった上で、天下り規制撤廃を、官僚の方を向いてはドーンと打ち出し、そして国民の方を向いては素知らぬ顔でソロリと差し出した、というのが事の経緯です。もちろん、後任の安倍内閣も、官僚丸投げは既定路線ですので、言われるまでもなく跡は継ぎますということで、おそらく、重要法案の陰に隠れて、そのうちスルッと両院を通過することになるんでしょう。そんなに天下りは大事なのか?って思いますよね。