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黄金分割とアスペクト比
著者 白鳥 敬

黄金分割とアスペクト比

アスペクト比  aspect ratio

縦横比のこと。矩形のものの縦の長さと横の長さの比をいいます。最近、普及し始めた薄型テレビはデジタル放送のハイビジョン画面を表示するため、横と縦の比率が16:9になっているのはみなさんご存知の通りです。

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ハイビジョン放送(アスペクト比)

デジタル放送の普及とともに、ハイビジョン放送の横長の画面も徐々に市民権を得つつあるようです。ハイビジョンのアスペクト比は16:9ですが、この比率を決めたのはNHKです。1964年頃から高精細テレビの研究を始め、人間が視覚的に最も臨場感を感じる視野の角度が30度くらいであることから縦横比が決められました。研究の結果、5:3(15:9)か6:3(18:9)がいいということになり、70年頃の高品位テレビの暫定規格ではアスペクト比が5:3となっていました。その後、映画との互換性をとって現在の16:9になりました。

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アナログテレビ(アスペクト比)

現在主流のアナログテレビ放送のアスペクト比は4:3。横長のワイド画面に慣れてしまうと、やや洗練さに欠けるような気がしますが、なんといっても、これがまだまだ世界の主流です。このアスペクト比はパソコンにも受け継がれ、パソコンの基本的な解像度であるVGAは、横640画素×縦480画素とアスペクト比は4:3です。現在、パソコンでよく使われる1280画素×960画素や、パソコン用のほとんどの規格は、このアスペクト比になっています。

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DVD(アスペクト比)

DVDで販売される映像ソフトは、MPEG−2というコーデック(符号化方式)のデータで、横720画素×縦480画素になっています。デジタルビデオカメラの画像をパソコンに取り込んでパソコンで使う形式に変換すると、一部のパソコンでは、横に伸びた画像になることがあります。720:480は、4.5:3ですから、そのままでは横長に表示されてしまいます。そのため、MPEG−2の画像ファイルは、正しいアスペクト比(4:3)が指定されています。AVIファイルには、アスペクト比の指定がないので、正しいアスペクト比で表示されない場合があるのです。

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フィルム(アスペクト比)

デジタルカメラの普及によって影の薄くなりつつあるフィルムですが、35mmフィルムのアスペクト比は、横36mm・縦24mmで、アスペクト比は3:2(1.5:1)。現行のアナログテレビの4:3(1.333:1)よりやや横長。高グレードのデジカメでは、フィルムサイズに合わせて、3:2のアスペクト比で記録できるモードを持つ機種もあります。

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映画(アスペクト比)

では、映画のアスペクト比は? 映画館で見る映画は、テレビで見る映画とは比較にならない迫力があります。この迫力の秘密は、アスペクト比。もっとも横長のシネマスコープでは、2.35:1。これよりやや横の短いサイズに、ビスタサイズがあります。これはアメリカとヨーロッパでは違っていて、アメリカンビスタは1.85:1、ヨーロッパビスタが1.66:1とアメリカンビスタのほうが少し横長です。

現在は、ほとんど使われませんが、昔の映画はスタンダードサイズと呼ばれる、アスペクト比が1.37:1のサイズでした。このサイズは、ほぼ4:3で、テレビ画面のアスペクト比4:3は、ここからきています。

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黄金比  Golden ratio

もっとも美しい比率と言われている黄金比。古代ギリシャで発見され、古来から芸術作品の多くにこの黄金比がみられます。黄金比は、(√5−1)/2=0.61803・・・。簡単にいうと、1:1.618または、0.618:1。クレジットカード・はがき・名刺など、身近なカードも黄金比になっています。

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数式の黄金比/フィボナッチ数列

1、1から始めて順番に前の二つの数字の和を作ることで得られる数列をフィボナッチ数列といいます。1、1、2、3、5、8、13、21、・・・・。また、隣合わせの数字を次のように分数にしていく。1/1、1/2、2/3、3/5、5/8、8/13、13/21、・・・。すると、13/21=0.619・・・、8/13=0.615・・・など、しだいに黄金比に近づいていくのがわかります。

植物の葉や巻き貝の渦巻きなど自然の中にも、フィボナッチ数列が見てとれるものがあります。不思議な調和を感じさせる数列です。

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白銀比  Silver ratio

白銀比(はくぎんひ)は、1:√2(1:1.4142・・・)の比で、紙の大きさなどがこの比になっています。たとえば、A判の紙は、原紙のサイズが625mm×880mm。この比は、1:1.408。

黄金比の1:1.618とはちょっと違う比率ですが、こちらも安定感のある比率ということでしょう。結局は黄金比とは、人間の心理に安定感と秩序と調和を感じさせるものをいうのでしょう。しかし、意図的に秩序を乱すところに新鮮さが生まれる場合もありますから、人間の心はつかみにくいということでしょうか。

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株の黄金比

株価の黄金比について書きましょう。野村証券のホームページによると、株の世界には黄金分割比率というものがあるそうです。

黄金比は0.618:1。つまり、61.8%と、100%から61.8%を引いた残りの38.2%。株価の推移をグラフにすると、この黄金比を満たす状態のときがいちばん美しく、しかも、この時点が、買うか売るかの判断のしどころなのだそうです。

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