勝ったあなたは自己実現、負けたあなたは五月病?
5月と言えば、五月祭、などというと東大OBのふりができますが、5月と言えば、やはり五月病でしょう。長引く不況の中、ほとんど鬱病が国民病となってしまった感もあるこの日本ですが、昔からおなじみの急性鬱病の代表格である、五月病の患者の方も順調に増えているようです。右肩上がりの高度成長期にすらあったくらいですから、まして、この鬱々の時代、五月病患者が増えるのは当然と言えば当然ですね。医療技術の進歩とは裏腹に、冬のインフルエンザ、春の花粉症、そして初夏の五月病と、毎年やってくる国民的季節病は一向に治まる気配がありません。まあ、人の病気で食っている業界の方々に言わせれば、簡単に克服されてしまっては困るということかもしれません。今ほど、勝ち組、負け組と言われなかった頃から、五月病は競争に敗れた弱者をふるい落とす、「競争ニッポン」の年中行事として機能してきましたが、昨今、そのプレッシャーはさらに高まってきているようです。火勢は強まるばかりの競争社会という鉄鍋の中で、甘栗のように炒りつけられる現代の日本人ですが、あなたはどこまで踏ん張れそうですか?
イラストレーション・下谷二助