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流行語大賞からキーワード
 

負け犬

酒井順子

ベストセラー『負け犬の遠吠え』の著者。東京都生まれ。 1966年9月15日生まれの38歳。高校在学中から雑誌「オリーブ」などに執筆。立教大学卒業後、博報堂に入社し、3年間で退社し、コラムニスト業に専念。ピリリと辛口なコラムで、『ホメるが勝ち!』『食のほそみち』『観光の哀しみ』『容姿の時代』『煩悩カフェ』『少子』など、たくさんの本を出したが、どれもごくごく普通の売り上げだった。そこに突然2003年の本『負け犬の遠吠え』が大化けした。酒井本人が命名したといわれるタイトルがまず評判になって、負け犬論争を呼ぶなど雪だるま式に注目を集め、第4回婦人公論文芸賞、第20回講談社エッセイ賞を受賞し、評価は決定的となった。

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Olive (オリーブ)

コラムニスト酒井順子、初期の活躍の舞台。判型はA4変。女の子らしさを強調する、プチ・セクシーなメイク術、今どきの女の子のファッション術を提供。また、ハイティーンのためインタビュー記事やお勧めBOOKの紹介、いわゆる生活情報など。2003年6月18日発売号以来、休刊している。出版界では「休刊」とうたいながら事実上「廃刊」となる雑誌も多いが、マガジンハウスという出版社は、休刊と廃刊をきっちり分け、休刊雑誌は必ずや復刊されることになっている。

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シングル・ライフ

「独身」に代わって「シングル」という言葉を定着させたのがこの『シングル・ライフ』(中央公論社) 。1986年のベストセラーで、フランス文学研究の海老坂武が執筆した。サブタイトルに「女と男の解放学」とあるように、当時勢いの顕著だったフェミニズム色濃厚なエッセイ本。19年後の今日、シングル世帯は確実に増え、4世帯に1世帯以上が「シングル」となった。バブルの時代のシングルたちは自由を謳歌し、人生を楽しむテクニックを競い合っていたが、果たして高齢化という深刻な社会問題と向き合ういま、シングル・ライフはどんなライフに・・・・・・。

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結婚しない女

1978年のアメリカ映画。原題もそのまま「AN UNMARRIED WOMAN 」。ある日突然、夫に一方的に離婚されてしまった主婦が、女としての精神的自立にいたるまでのスケッチ。流行語「とんでる女」に象徴されるような、女性の社会進出が叫ばれだした頃の、こういう題材の先駆けとなった作品。主演、ジル・クレイバーグ。監督、P・マザースキー。

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林真理子

小説、エッセイ両分野で活躍中の人気作家。1954年、山梨県生まれ。日本大学芸術学部卒。85年「最終便に間に合えば」「京都まで」で直木賞、95年『白蓮れんれん』で柴田錬三郎賞、98年『みんなの秘密』で吉川英治文学賞を受賞。96年小説『不機嫌な果実』がベストセラーになり、映画化される。『花より結婚きびダンゴ』などで「カッコつけずに、みんな結婚しようよ!」と本音をアピールし、自らのエッセイでも「結婚したい結婚したい」と言い続け、現実に結婚してしまった「時代」の人も、いまや直木賞選考委員。

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三高/三低

ここ20年ほど、若い女性達が結婚相手に選ぶ基準として「三高」が幅をきかせてきた。すなわち「高学歴、高収入、高身長」。もちろん高身長といっても、ただ背が高ければよいという主張ではなく、格好がよく見栄えがよい範囲でという限定付きだ。ところが最近では、女たちが男選びの条件をあげるとしたら「三低」になるらしい。

ここに時勢の大いなる変動を読みとることができるだろう。「低姿勢」(威張らない、レディーファースト)、「低リスク(リスクの低い安定した職業で公務員、資格保持者など)、「低依存」(束縛しない、お互いの生活を尊重)。「低姿勢、低リスク、低依存」、ほんとにそんな男を選びたいのだろうか。

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非婚/シングル

「非婚化」が問題視され始めたのは1990年代初頭。平成4年国民生活白書(経済企画庁)「少子社会の到来、その影響と対応」は、「少子化」分析の中で「出生率の動きは、有配偶割合、有配偶女子の出生率という要因に左右されるが、これらは非婚化・晩婚化の動きと直接つながっている」と「非婚化」を摘出した。時まさしくバブル全盛期、女性の経済的自立によるライフスタイルの変化、性別という役割分担から自由になろうとする意識がシングル傾向を増加させた。一方で離婚によるシングル化も増加。いずれにしても、従来のような「結婚して一人前」といった意識や「女性の幸せは結婚」という固定観念から、個を尊重する生き方が選ばれる時代に移ることをシンボリックにあらわす現象だった。

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クロワッサン症候群

1980年代、女性誌が賑やかに提唱したシングル・キャリア・ウーマンのイメージ。大学を出てすぐに結婚する手はない、何かもっと素敵な生き方があるはず、そう夢みたOLが30代になったときの現実と本音を鋭く追究した話題作が『クロワッサン症候群』で松原惇子が世に問うた。88年刊行で、後から考えれば「負け犬」の元祖と言えなくもない。雑誌「クロワッサン」の影響を受け、自立する女を目指し、バブル期を生きた女たち、しかし決してハッピーな人生を送れていない・・・というあたりがネーミングの由来。この本の登場で、「私、まちがってたかも」と、多くの未婚女性を不安にさせ、もちろん反発する向きもまた少なくはなかった。

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結婚しないかもしれない症候群

30代未婚女性たちが「クロワッサン症候群」と名指しされ、不安に陥れられていたところに救世主が登場した。1990年のノンフィクション『結婚しないかもしれない症候群』、そしてその著者・谷村志穂。婚期を過ぎてもなんとか一人でやっていけている女性たちを取材しながら、恋愛と結婚と人生を切実に見つめ、圧倒的支持を受けた。『現代用語の基礎知識』1992年版によれば「結婚しないと決めたわけではないが、もしかしたら結婚しないかもしれないと考えて、マンションを買ったり、ガン保険に入ったりして、1人で生きる老後の準備をするなどの独身女性たちの風潮をいう。女性の晩婚化傾向の1つの現象につながる。」とある。作者自身は結婚、出産を経験し、03年には「10年後の結婚しないかもしれない症候群」を執筆。

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久本雅美

女優として、TVドラマ化された『負け犬の遠吠え』(NTV系)に主演したタレント。大阪府平野区出身。劇団「ワハハ本舗」所属。毎年NHKが調査発表する「好きなタレント調査」で女性タレントの第1位に4年@連続で選ばれている。レギュラー番組に「笑っていいとも! 」「恋するハニカミ! 」「メレンゲの気持ち」など。愛称は「マチャミ」。生年月日は女優の浅野ゆう子と同日で、1960年7月9日。別の一面では、熱心な創価学会信者として知られる。劇団「ワハハ本舗」出身の個性派役者には他に吹越満、柴田理恵がいる。

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婦人公論文芸賞

女性をテーマとした小説やエッセイなどの文芸作品に贈られるた文学賞。2004年は酒井順子のベストセラー『負け犬の遠吠え』が受賞作となった。雑誌「婦人公論」の名を冠していることから分かるように、かつて中央公論新社が創設した女流文学賞がその前身で、2001年から婦人公論文芸賞となった。これまでの受賞は、第1回 が田口ランディ 『できればムカつかずに生きたい』、第2回が岩井志麻子 『チャイ・コイ』 、第3回が角田光代『空中庭園』、そして第4回目が酒井順子 『負け犬の遠吠え』。

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講談社エッセイ賞

まだエッセイが「随筆」の翻訳語でしかなかった頃、それに文学としての市民権を与えるように講談社が創設した賞。第1回は1985年で、受賞者は野坂昭如と沢木耕太郎。そして第2回は吉行淳之介と景山民夫、という具合に、戦後の随筆名人と新時代の旗手の組み合わせで受賞する仕組みに見えなくもない。第20回、荒川洋治と酒井順子が受賞した2004年のペアもある意味で同様。エッセイではもはや名人の域に達しつつある荒川と、混在する若手コラムニスト群からひょいとアタマ一つ抜け出た酒井に「お墨付き」が与えられたという印象が強い。

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井筒啓之

『負け犬の遠吠え』(講談社)の装画つまりカバーのイラストレーションを描いているのが、売れっ子イラストレーターの井筒啓之。近年、この人が手掛けた装画は、浅田次郎『鉄道員(ぽっぽや)』、宮部みゆき『人質カノン』、柳美里『8月の果て』、伊集院静『僕のボールが君に届けば』など、どれも強烈な印象を残している。1955年香川生まれ、東京育ち。セツ・モードセミナー卒業。82年日本イラストレーション展入選。99年講談社出版文化賞さしえ賞受賞。押し寄せる依頼仕事を裁きつつ、イラストレーションの専門学校・青山塾で教鞭をとる。妻もイラストレーターの井筒りつこ。

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