新規参入

◆ＩＴ

2004年の近鉄・オリックス合併問題に端を発したプロ野球新規参入に名乗りをあげたのが、ライブドア、楽天、ソフトバンクなどのＩＴ企業。渡辺恒雄元オーナーの「ボクも知らないような人が入るわけにいかない」「カネがあればいいというものではない」などの発言に象徴されるように年配の人にはなじみの薄かった社名も一躍広く知られるようになった。渡辺元オーナーにはすっかり子供扱いされたＩＴ企業だが、古くは鉄道会社、新聞社から、流通業界が進出し、ＩＴ業界へとプロ野球のオーナー企業には時代が反映されているといえる。

◆古田敦也

ヤクルト捕手。日本プロ野球選手会会長として新規参入に揺れるプロ野球界でもっとも株を上げたのはこの人かも。昼間は球界首脳陣と交渉し、夜は試合で24本塁打という結果を残す活躍。近鉄・オリックス合併は阻止できなかったものの、球界初のストを断行し、会見の場で握手を拒否するなど強気の姿勢で球界再編に尽力する姿に「古田コール」が巻き起こった。新規参入にも貢献した。1965年兵庫県生まれ。立命館大学で活躍した後、1988年トヨタ自動車入りし、1990年にヤクルトに入団。

◆ほりえもん

ライブドアの堀江貴文社長のあだ名。ホリエモンという競走馬も所有している。1972年福岡県生まれ。東京大学在学中の1996年にライブドアの前身のオン・ザ・エッヂを設立。2000年4月に異例のスピードで東証マザーズに上場し、インターネットでの総合サービス企業をめざし、さらに事業領域を広げている。近鉄買収に名乗りを上げ、その名は一躍全国区になった。「お金で買えないものはない」と言い切るみもふたもないというか、歯に衣着せぬ物言いも嫌われるどころかますます人気を集め、バリバリ儲ける。

◆楽天市場

楽天は1997年に設立され、日本初の電子モールとして急成長。織田信長が開いた「楽市楽座」から命名された。13店舗で営業を開始し、わずか1年で日本最大の電子モールに成長した。ヤフーオークションにヤフーショッピング、ビッダーズなどネット通販やネットオークションがここ数年でぐっと身近で必要とされるまでになった。

◆三木谷浩史（みきたに・ひろし）

楽天社長。1965年神戸生まれ。1988年に一橋大学卒業し、日本興業銀行に入行。ハーバード大学でＭＢＡを取得し、95年に退職。97年に楽天を設立。Ｍ＆Ａを積極的に展開し、旅行業、証券業へも業務を拡大。2003年9月には米経済誌フォーチュンで、世界の若手富豪20位に選ばれている。サッカー「神戸ヴィッセル」の経営に乗り出し、プロ野球球団では最年少のオーナーとなり、すでに年間席のネットオークション販売や10万円ファンクラブなど奇抜なアイデアを生み出しているが、球界に新風を吹き込めるか。

◆仙台

プロ野球新規参入問題で俄然脚光を浴びたのが杜の都、仙台。「東北楽天ゴールデンイーグルス」が新球団としては50年ぶり、また東北初のプロ球団として誕生した。「杜の都」とは、かつての武家屋敷に茂っていた美しい庭木の景観がその名の由来だという。仙台拠点のプロスポーツチームといえば、サッカーＪ2のベガルタ仙台が先輩。新監督として都並敏史が就任し、2005年のＪ1復帰をめざす。楽天ゴールデンイーグルスとベガルタ仙台、今ひとつ話題の中心になれない東北を盛り上げられるのか、仙台市民だけでなく東北地方全体の期待が注がれている。

◆アダルトサイト

プロ野球新規参入に関する楽天とライブドアに対する公開ヒアリングで、ライブドアはアダルトサイトへの接続が問題だと取り上げられた。日本語のサイトで数万から数十万もあると言われる現在、わいせつ映像の配信は野放し状態で、取り締まるのは不可能。アダルトサイトをめぐる犯罪は多く、2004年12月には有料アダルトサイトの料金欲しさに高校生が路上強盗するなどの事件も起きている。

◆無料プロバイダ

現在のライブドアは、無料インターネット・サービス・プロバイダとして知名度のあったlivedoorを吸収したことで社名もライブドアに変更した。無料プロバイダとは、インターネットへの接続時にデスクトップに広告が表示させることで広告収入を得、利用者へのインターネット接続料金を無料にできるというビジネスモデルのひとつ。ネット関連では、ホームページ作成やメールマガジンなど、広告料を収入源として、企業・個人を問わず無料で提供されるものが多い。

◆ＩＹバンク／ソニー銀行

2000年以降、異業種が銀行業務に相次いで新規参入した。イトーヨーカ堂グループが設立したアイワイバンク銀行、ネット専業での銀行として、ソニーが母体のソニー銀行、伊藤忠商事のイーバンクなどがそれで、なかでもセブンイレブンの店頭にＡＴＭを設置し、24時間年中無休で利用できるというグループのメリットを最大限にいかしたＩＹバンクは、開業3年目の2004年に黒字を達成した。

◆欽ちゃん球団

2005年、コメディアンの萩本欽一が社会人野球チームに新規参入。チーム名は糸井重里が、金のなかの金（欽）という意味で「ゴールデンゴールズ」と命名した。3月下旬の春季大会で公式戦デビューし、5月の都市対抗予選に出場する予定。もともと大の野球ファンで、低迷するプロ野球を憂い、長嶋茂雄が帰ってくるまでにぎやかにしたいとチーム発足を決めた。入団第1号は、4年連続女子野球日本代表に選ばれている片岡安祐美と報道された。