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「2003年日本新語・流行語大賞」からみる〈流行り〉のキーワード
 

毒まんじゅう(年間大賞)

受賞者:野中広務さん(元衆議院議員)

2003(平成15)年9月の自民党総裁選で、政界引退を決意した野中広務元幹事長が、小泉首相支持に回った一部の政治家を非難する際に使った言葉。具体的には小泉再選後に密約されたポストをさし、自己の功利にはしる政治家の実態にこの一言で警鐘をならした。

政界の腐敗を揶揄した流行語

政治風刺の流行語は大賞の常連。これまでもたくさんの授賞がありました。

鈴虫発言

1984年 新語部門・銀賞

受賞者:中曽根康弘(内閣総理大臣)

1983(昭和58)年、ロッキード事件の田中角栄元首相に実刑判決が下され、同年暮れの総選挙は、政治倫理問題が最大の争点となっていく。この状況を揶揄したのが中曽根首相。「倫理、リンリ」とまるで鈴虫が鳴いているようだと切り返した。

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ほめ殺し

1992年 新語部門・金賞

受賞者:小林泰一郎(サンデー毎日編集部員)

サンデー毎日の「佐川スキャンダル」記事で、初めてこの言葉が登場した。事実の本質をえぐり、ユーモアがありながら恐ろしい新語と高い評価を得た。竹下元首相に対する右翼の攻撃、「お金儲けの上手な竹下さん」「恩人を裏切る華麗な“芸”を持つ竹下さん」など、“誉めて”いるようで非難する手口を「ほめ殺し」と表現した。この記事以後、すべてのメディアにこの新語が溢れた。

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天の声

1993年 流行語部門・銅賞

受賞者:受賞対象者が拘留中のため保留

政・官・業の腐敗構造はますます深刻化している。1993年は“談合”によるゼネコン汚職が問題化した。自治体の公共事業を、業者間の談合で入札企業を決めていたというもので、この際、地方首長の意向を「天の声」と呼称していたという。本来の用法と異なり、隠語として「天の声」が多発されていたとなると、もはや立派な新語と解釈するしかないとした。

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官官接待

1995年 トップテン入賞

受賞者:井上善雄(全国市民オンブズマン連絡会議代表)

この年、メディアに初めて大々的に登場した語が「官官接待」。地方の役人が、補助金の決定権を持っている中央の役人を供応するということなのだが、その“いじましさ”に庶民は絶句した。裏金、“食料費”という名目での“横領”など、役人の腐敗は止まるところがない。受賞者は、改めて市民サイドの行政監察の重要性を示してくれた全国市民オンブズマン連絡会議代表の井上善雄。

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黒い霧

1966年の用語

昭和41年8月、自民党田中彰治代議士の逮捕から一連の不祥事が発覚。積年の病弊が一挙に吹き出した。12月には衆議院もついに〈黒い霧解散〉へ。松本清張『日本の黒い霧』に由来する言葉。

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密室政治/楽屋政治  Behind the scenes manipulation

本誌1995年版

公式の政策決定の場ではなく、その舞台裏で決着を図ろうとする政治手法。民主政治の下では国が直面している問題の本質を十分に知らせ、国民が政策の善し悪しを判断する条件を整備することが不可欠。1994(平成6)年2月3日未明、細川首相が突然に発表した国民福祉税構想などは、連立与党間の合意さえなく、大蔵省とごく一部の与党政治家との間での闇取引。政治に裏取引はつきものとはいえ、欧米の民主国家では考えられない現象。

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