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再び三たび流行する病気と健康の用語集
 

元気を飲もう!〜健康ドリンクの歴史

アスパラギン酸

本誌1964年版収録。以下、

人体細胞の代謝に役立ち、また体内の疲労物質のひとつのアンモニアなどを解毒する働きもあるという。これをもとにつくられた製剤は、したがって強肝剤、保健剤になる。アスパラギン酸製剤はアスパラ(田辺製薬)、アパラール(住友化学)、ヘルタス(大日本製薬)などがある。

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ドリンク剤

本誌1969年版収録。以下、

一時流行したアンプル剤に代わって登場した小びん入りの保健薬液剤。愛好者が多いが、これと形も同じの清涼飲料が現われ、医薬品まがいが問題となり、両者を識別する措置がとられた。

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ミニドリンク

本誌1988年版収録。以下、

ビタミンや生薬を成分としたドリンク剤は、内容量によって100ミリリットルと50ミリリットル以下の2つに分けられるが、後者を業界てはミニドリンクと呼んでいる。ドリンク剤が初めて登場したころ(昭和37年)は100ミリリットルタイプだけだったが、53年以降は、清涼飲料水と区別するため、新製品として発売できるのはミニドリンクだけになった。このドリンク剤の新製品ラッシュが62年には、一段と活発になり、業界では『第2次ドリンク剤戦争』などといわれている。一般向け大衆薬の売上増は頭打ちだが、ドリンク剤は最近5年間で約1.25倍と伸びは大きい。ミニドリンクは医薬品ではあるが、安全性や有効性がすでに認められている成分を組合わせるだけでつくれるため、開発費も少なく厚生省の承認もすぐ得られる。朝鮮ニンジンなど生薬をふんだんに使ってはいるが、値段は1本800〜2000円と高く、もうけが大きい。「グロンサン」に続いて「ユンケル」がシェアを伸ばしている。健康ブームに乗って、入浴剤や化粧品のメーカーまで、このミニドリンクの発売に乗出してきた。

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エナジープール

本誌1991年版収録。以下、

市販のドリンク剤を100種類以上集めて、お客がより取りで手軽に飲むことのできる店舗のこと。いわば「ドリンク剤のいっぱい飲み屋」で、1989(平成1)年後半から都会を中心に増え始めた。ドリンク剤は現在、内容量が50ミリリットル以下のミニドリンクが主流で、相変わらず急成長を続けているが、ことに「リゲイン」(三共)は「24時間タタカエマスカ、ビジネスマン」というCMソングの大ヒットで爆発的に売れた。また若い女性に的を絞った女性専用のミニドリンク剤も登場し、糖分を低く抑え、飲みやすいリンゴ風の味つけをするなど、各メーカーの販売合戦はますますエスカレートしている。ドリンク剤を飲みながら、残業をしたり夜遊びをするとは、まことに日本的な健康生活と批判する声も強い。

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ドリンク剤と規制緩和

本誌2000年版収録。以下、

医薬品は、薬局または医薬品販売業の許可を得たものでなければ販売できない。この販売規制を緩和すべきとする意見があり、政府は閣議において「医薬品のうち人体に対する作用が比較的緩和で販売時に情報提供をする必要のないものについては、一般小売店でも販売できるよう医薬品のカテゴリーを見直す」ことにした。この決定を受け、厚生省は、中央薬事審議会に医薬品販売規制特別部会を設置し、審議を重ねてきたが、1999(平成11)年3月に一般用医薬品から医薬部外品に移行させる範囲とその新医薬部外品の基準を公表した。医薬部外品の販売には許可は必要ない。したがって、コンビニ等の一般小売店において販売できる。今回、新医薬部外品に移行することになったものは、<1>のど清涼剤(セネガ等緩和な生薬よりなるのどあめ等の一部)、<2>健胃清涼剤(ケイヒ、ウイキョウ等を含む健胃剤の一部)、<3>外皮消毒剤(アクリノール液等)、<4>きず消毒保護剤(絆創膏等)、<5>ひび・あかぎれ用剤(クロロヘキシジン主剤軟膏)、<6>ひび・あかぎれ用剤(メントール・カンフル主剤軟膏)、<7>ひび・あかぎれ用剤(ビタミンAE主剤軟膏)、<8>あせも・ただれ用剤(酸化亜鉛軟膏等)、<9>うおのめ・たこ用剤(絆創膏)、<10>かさつき・あれ用剤(尿素軟膏)、<11>ビタミンC剤、<12>ビタミンE剤、<13>ビタミンEC剤、<14>ビタミン含有保健剤、<15>カルシウム剤の15群である。

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野菜スープ

本誌1995年版収録。以下、

「成人病は野菜不足から」ということで、野菜を煮込んでスープ状にした野菜スープが、1993(平成5)年後半から、一部の人たちに狂信的に信奉された。94年半ばには商品化された製品も発売されたが、同年6月、元祖と自称する野菜スープの仕掛け人が、医師法・薬事法違反の容疑で逮捕され、一般の人たちはこの時点で野菜スープの存在を知り、話題になった。素人目には、スープの中に野菜の成分すべてが溶け込んでいるように考えがちだが、専門家によると、溶け出さずに野菜に残る成分がかなり多いという。植物繊維もスープに溶け出ないものが多くカロチンもほとんど出ない。ビタミンCも煮ている間にかなり減るし、ミネラルもカリウム以外はそう多くは出ない。要するにスープをつくったところで、後に残った野菜も食べないことには意味はないわけで、野菜代わりになるというものではない。がんに効くとか万病に効くというのも、まったくのナンセンスである。

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ニンジン・ジュース

本誌1995年版収録。以下、

ニンジンは成人病予防に効果があるといわれるβカロチンやビタミンCなどを含んでいるが、独特のにおいがすることから、ジュースとしての人気はいまひとつだったが、カゴメが1992(平成4)年、このにおいを抑えて改良したニンジン飲料を発売したところヒット商品になり、現在、約30社が競合している。

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“おいしい水”ブーム

本誌1985年版収録。以下、

日本ミネラルウォーター協会の規格によると、総硬度100ppm以上、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウムのイオン総量が40ppm以上の鉱泉をミネラルウォーターという。いわば“おいしい水”である。わが国の水道の水は欧米に比べて、“ おいしい”という点では定評があったが、それが最近、お茶やコーヒー用にはもちろん水割りにも使えないまずい水になってきた。多量に入れる塩素や、下水処現場などが排水しているアンモニアなどのため、カルキ臭やカビ臭さが目立つのである。そこで厚生省は、59年4月、「おいしい水の判定基準」をまとめ、「おいしい水研究会」をスタートさせた。こうした“まずい水”の氾濫したわが国で、家庭用浄水器とともに、前記ミネラルウォーターを始めとする、おいしい水の水商売が、58年ごろからブームになりはじめた。1年間になんと琵琶湖15杯分が飲み干されたとか。甘味料など後に残るジュース類が氾濫しすぎたことも、このさっぱりした水の商売に拍車をかけている。私的な業者ばかりでなく各県の自治体が業者とタイアップして地元の水を商品化するケースが続出し、59年には、わが国最大の“水源保有者”である林野庁が、国有林に数多くあるうまい水の販売を検討し始めた。健康にいい、美容にきくということで、このおいしい水のブーム、まだまだ続きそうである。ちなみに水道の水は1リットル90銭程度(東京都の場合)だが、ミネラルウォーターの平均価格は150〜200円である。

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スポーツドリンク

本誌1988年版収録。以下、

「ポカリスエット」に代表されるスポーツドリンクが初めで登場したのは昭和55年のこと。汗にはナトリウムイオンやカリウムイオンなど電解質を含んでいるので、体液と同じ浸透圧をもつスポーツドリンクを飲むほうが吸収が早く、したがって疲労回復も早いというのが、メーカー側の説明だが、ともあれこのイオン系が約50種もしのぎを削っている。現在、ポカリスエットのほかアクエリアス、NCAAの大手3銘柄が市場の87%を占めているが、61年から62年にかけて新たに「中国」をイメージした新しいスポーツドリンクが市場に加わり、再びフームが巻き上がる勢いである。「維力(ウイリー)」は20種類の植物工キスを抽出した原液を中国から輸入、「沙棘(サーチ)」は中国奥地に自生するグミ科の植物である沙棘の実から抽出したエキスを原料として、それぞれスポーツドリンク、プラス健康増進のイメージを打ち出して対象を広げようとしている。要するに「何となく効きそうだ」ということで、専門のスポーツドクターは、栄養価的にはどれほど効くか疑問といっている。

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ウォーター・ローディング

本誌1997年版収録。以下、

water loading

スポーツを行う数日前から、あらかじめ水分を摂取することによって、運動当日の脱水症状を防ぎ、運動能力の維持を図る体調調節法。暑い季節に激しいスポーツを行うとき、適度な水分の補給をするのはスポーツ医学の常識だが、運動開始前から「ウォーター・ローディング」を行った選手は、明らかに運動能力が高度に維持され、運動順位もいいという結果が出た。これは、順天堂大学スポーツ健康科学部の高岡郁夫助教授らのグループの実験で明らかになったもので、スポーツを行う3日前から1日3リットルの水を飲ませた選手6人と、そうでない選手6人の2グループに分け、当日は5キロ走って30キロ自転車に乗り再び5キロ走る「デュアスロン」のタイムトライアルを行った。レース中は全員に水分を摂取させなかった。この結果、1位2位になったのは事前に水分摂取をさせて体調を調整した選手たちのほうで、レース中の平均心拍数に大きな変化がなく、また血漿量の減少や赤血球・白血球数の増加なども少なく、生体の負担が明らかに少ないことがわかった。

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