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勝敗の彼岸、来年はがんばろう、あきらめずにがんばろうの用語集
 

“新しく”でてきた階層は、いまどうなっているのだろう

“新しい”階層として華々しく出てきた人たちは今どうしているのでしょう。勝ち組のままでいられたでしょうか。

ヒッピー族

本誌1973年版収録。以下、

hippie。ジャズ用語のヒップ(hip=調子を合わせる)が語源だとも、ヒップド(hipped=魅せられた、熱中した)からきているとも、またハッピー(happy=幸福)が崩れたことばともいう。いずれにしても“ヒップ野郎”つまりヒップぶる奴という意味をもっている。アメリカの若者達に多く見られる1967年型生態の一つであるが、その特徴は、髪の毛を男女とも肩まで垂らし、女たちは膝上20センチのスカート、ブーツをはくもの、はだしのもの、ひげをのばしたものなどいろいろ。「自然に返れ」というのが主張で、金を使わずに楽しみ、月並みな社会生活を意識して避ける態度をとっている。時には既成の規格に対して大衆行動もとる。これをbe inと彼らは呼んでいる。68年になって、アメリカではヒッピーの政治的前衛をイッピー(young international party の略)と呼ぶようになった。

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イッピー

本誌1973年版収録。以下、

ヒッピーと音が似ているし、どちらも若者の反体制グループだが、ヒッピーより戦闘的のようだ。YippieのYはYouth Revolution(若者革命)から、IはInternational Revolution(国際的革命)から、そしてPはParty(党)からきているという。YipでいいものYippieというのは愛情をこめたいい方である(ヒッピーはHipだが愛称としてHippieとなった)。つまり国際的な若者革命を求める人々の集まりがイッピーというわけだ。1968年のシカゴ民主党大会を契機に生まれた。ヒッピーたちよりはニューレフト的な政治色の強い所が違っている。中心人物は「やってみろ」(Do it)という本を書いたジェリー・ルービンと「ウッドストック・ネーション」の著者八−ビー・ホフマンといわれる。

ルービンによると「未来のイッピーランド」は次のような状景になる。「アメリカ国歌のかわりにボブ・ディランの歌が歌われる。監獄も警察も裁判所もなく、世界中が無料の食糧と家であるような一つのコミューンになる。国防省はLSD研究所となり、人々は朝は農耕に従事、昼は音楽をきき、そしていつでも好きな時に性交する。」

こういう未来国を描くことはヒッピーとも似ているが、政治体制の変革を描いているところが違うのである。

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ヤッピー

本誌1985年版収録。以下、

yuppie。都会派で専門職についている青年。すなわち、Young(若くて)、Urban(都会で活動しており)、Professional(専門職についている)というアメリカ人の新しいリーダー層についての理想を、頭文字でつないだものである。

1984年のアメリカの大統領選挙でも、序盤戦で「ハート旋風」を起こして最大の本命と思われていたグレン候補を引きずりおろし、後半戦に入ってからも、「モンデールの机上の空論ではアメリカはよくならない」というクールな判断にもとづいて、大量にレーガン陣営に流れ込んでいったといわれている。マリッサ・ピーズマンとマリリー・ハートレイの共著になる『ヤッピー・ハンドブック』(The YUPPIE Handbook)の記述に従えば、「ヤッピーとは、男女いずれにせよ、下記の基準にかなうものでなければならない。<1>主要都市内あるいは都市近郊に住む者、<2>自称年齢は25歳から45歳まで、<3>栄光、威信、知名度、名声、社会的地位、権力、金またはこれらのあらゆる組み合わせを生涯の目的とする者、<4>週末にはブランチ(brunch=朝食兼昼食)をとり、残業にも励む者。この用語は、人種、性別、地理、さらには階級上の境界を超えて適用される」ということになっている。もう少し具体的に言うと、<1>6ケタのサラリー(10万ドル級)をとり、<2>住込みの家事手伝い人を雇い、<3>1週に4〜5回精神分析医の治療(注・いまやステータス・シンボルとなっている)を受け……というような項目を満たしているヤング・工クゼクティブたちである。したがって、1960年代の若者たちのように体制をラディカルに変革することはのぞんでおらず、徐々に改良していけばいいという考え方を持っている。

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日本型ヤッピー

本誌1988年版収録。以下、

猛烈に働き、消費し、よく遊ぶ。アメリカのヤッピーに似た高学歴、高感度の消費者群が日本の市場をひそかに変えつつある。年収500〜700万円、未婚者、学生、自由業に多い。彼らは最先端の風俗を見つけ、その中に新しい都市ライフスタイルを見い出す。代官山、芝浦のウォータフロントなどはその典型。ディンクスと呼ばれる若夫婦も注目の的。

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ニューリッチ

1980年代の語。高級品志向の人たち。流通業界の分類は<1>こだわりリッチ=買物の際モノやサービスにこだわる。<2>かくれリッチ=親から土地や金融資産を相続するあてがある。<3>あきらめリッチ=土地のない人たち。<4>ストックリッチ=土地を持った金持ち。<5>ピュアリッチ=ほんとの金持ち。<6>プリテンドリッチ=金持ちのふりをする金持ち。

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ディンクス(DINKS)

本誌1991年版収録。以下、

Double Income No Kids。日米などの先進諸国で、職場における女性の地位の向上とともに夫婦ともに高所得を得るダブル・ポケットともいわれる共稼ぎ世帯が増えているが、その中でも、妻の職業生活に困難をもたらし、必需的な出費も招く子供をもつことを意識的に避けて、ぜいたくな消費生活を楽しもうとするカップルのこと。高級品の買い手としてのニューリッチ層の一角をなすものとして注目されている。

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デュークス(DEWKS)

本誌1991年版収録。以下、

Double Employed With kids。共に働きながら子どもを育てている夫婦のこと。今までの共稼ぎ家庭との違いは、子持ちであっても能力を生かす仕事をフルタイムで妻が続けているのが特徴。育児休業制度、産前産後休暇などの社会的制度が整ってきたこともあり、今後ますます増加の傾向にある。DINKSに比べ日本では言葉としてなじみが薄いが、実態はDEWKSの方がはるかに多い。

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トゥイナー

tweener。大金持ちと貧乏な暮らしの中間にいて、安定した生活を求めている青年層。

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ディスタンクシオン

本誌1991年版収録。以下、

distinction。フランスの社会学者ピエール・ブルデューの概念のひとつで、「卓越性」と訳されている。元来は区別・差別の意味で、現代社会のなかで階層構造が教育・趣味などとどのような相関関係にあるかを考えるための概念。いわゆるポスト大衆社会での特権階級の形成を考えるために有効とされる。ブルデューはこの概念をもとにして、1989年に『国家の貴族』を発表し、そのなかでフランスの新しい「貴族」である超エリート官僚の形成を具体的に論じた。問題は「ディスタンクシオン」によって差別される側のひとたちをどのように考えるかということであろう。

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プリテンド・リッチ

本誌1991年版収録。以下、

本当はリッチではないが、なにか一つ最高の物に金を使ってリッチになったような気分に浸ること。いまの消費者の主流。

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