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裏にまわっている人、いた人の特集
―― 田中耕一さんノーベル賞受賞記念
 

裏にまわっている人・裏にいる人の称号

ナンバー2

企業・組織などで、トップの次に位置する人や役職のこと。総じてトップよりも実務に通じている場合が多い。歴史上の人物にビジネス上の処世訓を求めるときにもしばしば使われる。2002年のNHK大河ドラマ「利家とまつ」の主人公・前田利家(1538-1599)は、織田信長・豊臣秀吉につかえ、五大老の筆頭をつとめた武将だが、ドラマの放送にあわせ、利家にナンバー2の理想像を探るというような書籍が多数出版されている。

わが国で総理大臣につぐ内閣のナンバー2のポジションは官房長官であるが、じっさいの力は内閣のメンバー構成による。行政では大臣につぐ省庁のナンバー2は事務次官。同格のものに政務次官があるが事実上の権限は非常に弱い。

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スーパーサブ

supersub スポーツにおいて、ゲームの中盤・後半などから出場し、その試合の流れを自軍に有利な方向へ大きく変える選手のこと。とくにサッカーについて使用する例が目立つが、野球界では広島カープの木村拓也が「ユーティリティー(便利な)プレーヤー」「スーパーサブ」と呼ばれている。セ・リーグで投手以外の全ポジション経験がある唯一の現役選手であり、2002年のシーズンも捕手と一塁、左翼のほかは全て守っている。

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バイプレイヤー

byplayer 映画・芝居などの脇役。転じて、スポーツ選手や政治家などについて用いられることも。こういう役回りの人を好むと玄人ファンっぽくみえる。2002年5月には三谷幸喜作品などで活躍する伊藤俊人(享年40)がくも膜下出血で、6月には「仁義なき戦い」シリーズなどの悪役として知られる室田日出男が肺がんで死去(享年64)。それぞれ名バイプレーヤーの死として惜しまれた。

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ブレーン

brain 政治家などの手助けをして、知的献策をする人。民間人の私的ブレーンを積極的に活用するのはアメリカの大統領がしばしば用いる政治手法。日本では、中曽根康弘首相が国鉄分割・民営化といった行政改革や教育改革に取り組むため民間人の私的ブレーンを積極的に登用した(いわゆる私的諮問機関など)。小泉首相のブレーン的役職としては、「首相補佐官」「内閣特別顧問」「内閣官房参与(→中山恭子)」などがあり、各種懇談会もその役割を果たしている。竹中平蔵財務大臣などは、それ以前なら「ブレーン」の役回りであるが、表舞台にたっている次第。

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黒子

もと歌舞伎で役者の後見役を務めるもの。黒い衣装をまとう。転じて、表舞台に立つ人を陰から支える役割。文芸編集者はその代表的な職種の一つといえる。たとえば、2002年9月に死去した坂本一亀(かずき 享年80歳)は名編集者として知られる。雑誌「文芸」編集長を務め、三島由紀夫「仮面の告白」、野間宏「真空地帯」、小田実「何でも見てやろう」、高橋和巳「悲の器」などを手掛けた。坂本龍一の父でもある。

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サブ

sub 普通、「副」の意で、主たる者を補佐する役目を指す(「スーパーサブ」などがその例)が、外務省内では「サブスタンス(substance)」の略語として用いられる。外交交渉で各国との折衝などにあたる役割を示し、キャリアの守備範囲である。不祥事が続いたロジノンキャリアを統括する位置にあるが、外務省の隠蔽体質を温存してきたのはむしろサブであるという指摘も。

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ロジ

logi ロジスティックの略。「サブ」と同じく、外務省内の用語(浅川明男)。宿泊の手配や備品調達などを担当する裏方を指し、ノンキャリアがあたる役目。階級社会の外務省では、ロジで頭角を現し、サブのキャリアに認めてもらうことでノンキャリアは発言権を得る。その筆頭が、浅川明男と松尾克俊だった。

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金庫番

かねぐらの管理をする人。転じて、金銭の出納などを把握し、運用する人のこと。特に、政治家の秘書などについて用いる場合が多い。鈴木宗男は農相、科技庁長官などを歴任した故・中川一郎(1925〜83)の秘書として政治キャリアをスタート。ほどなく公設第一秘書になって、中川事務所の「金庫番」として力をふるった。

田中角栄元首相在りし日には榎本敏夫が「表金庫番」、越山会の女王・佐藤昭子が「奥の院金庫番」といわれた。

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縁の下の力持ち

もと日本家屋で、縁側の下、また床下で家を支えているもののイメージから、目立たないところで、他者のために努力している人やもののことを指す。他の語に折々見られるような、マイナスイメージや権力臭がきわめて少ないのが特徴。用例は幅広いが、レーシングチームの技術スタッフや高性能のタイヤなど、技術がらみで用いられることが多い。

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黒幕

舞台で場の転換時に用いる黒い幕のことから、表面に出ず、陰で指図したりする者のこと。表にでないのには何らかの理由がある。フィクサーよりも「首魁」「親玉」というようなニュアンスが強い。近年「黒幕」と呼ばれた人物には、元総理大臣・竹下登(1924〜2000。「キングメーカー」などとも)、2001年9月11日の同時多発テロ首謀者オサマ・ビン・ラディンなどが挙げられる。少々さかのぼれば、故・児玉誉士夫氏、故・小佐野賢治氏等、右翼の大物がそうよばれた。

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フィクサー(fixer)

fix(繋げる、固定する)者という意味から、本来は仲介者、調整者の意だが、現在はほとんど「黒幕」「影の実力者」のような意味で使われる。近年では、2000年7月に中尾栄一元建設相の汚職事件にからみ、受託収賄容疑で逮捕された画商・福本邦雄が故・竹下登元首相の側近として組閣人事にも影響を与えたといわれ、許永中らとのつながりも深い「フィクサー」と報じられた。

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