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夏休みもおわり特集・子どもに見習わせたい“最近の偉人”伝
――世界的に著名な日本人からキーワード
執筆協力 編集工房インデックス

宮崎駿

宮崎飛行機

宮崎の伯父が経営し、父が役員を務めていた会社。栃木県鹿沼市にあった。戦時中に飛行機の翼の先端や、風防の組み立てなどを行なっていた。宮崎の一家は1944年から46年まで宇都宮市および鹿沼市へ疎開。宮崎は戦後、軍需産業の恩恵に浴していた罪悪感を感じたという。同時に、作品に見られる戦車や兵器へのこだわりの原点と見られる。

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「沙漠の魔王」

宮崎が少年時代に熱狂した冒険絵物語。福島鉄次作。1949(昭和24)年から「冒険王」(秋田書店)に連載開始。アメリカンコミック調の絵柄が斬新で、現在も根強いファンが存在する幻の名作。全9巻の単行本は古書オークションで200万円以上の値がつくほど。「ナウシカ」「ラピュタ」などの諸作に影響を及ぼしているという。

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白蛇伝

日本初の本格的カラー長編アニメーション映画。1958年公開、東映動画製作。演出は藪下泰司。声の出演は森繁久弥、宮城まり子。白蛇の化身と人間の若者の恋を描く。都立豊多摩高校3年生の宮崎はこの作品に感動し、アニメーションに関心を持つようになった。

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わんわん忠臣蔵

1963年公開、東映動画製作。原案・構成は手塚治虫。母を殺された犬が仲間を引き連れて仇の虎と戦うストーリー。その虎の声を担当したのは故・西村晃。主題歌はデューク・エイセス。同年、学習院大学政治経済学部(専攻は「日本産業論」)を卒業した宮崎は東映動画に入社。3ヵ月の養成期間後、動画として参加したのがこの作品。

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労組

東映動画時代の宮崎は労働組合運動に積極的に参加、つねに最前列で発言をしていた。それは特段“変わった”ことではなく1960年代という時代の風潮であった。入社の翌年に書記長に就任(同時期の副委員長は高畑勲)。同じ世代で同じような立場に身をおいた者と同様、ここで集団や組織というものの力や、それとの接し方を学んだといわれる。「最終学歴は東映動画労働組合」と自らいうほど。他の同世代人と違うのは、ときを経たのちにも作品中に“労組運動”的メッセージが多く散りばめられ続けていること。

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シトロエン2CV

1948〜90年にわたって製造されつづけたフランスの実用車。54年製を1967年の購入以来、宮崎が使い込んだ愛車。徹底的にシンプルで合理的な構造と乗員の快適性を最重視する設計思想は、青臭い「左翼」思想と一脈通じていて(世界的にそういう位置づけのクルマである)、宮崎がこれを愛用したのも道理であろう(→労組)。初の劇場用監督作品「ルパン三世 カリオストロの城」(79年)では、冒頭シーンでヒロインのクラリスが2CVを運転、男たちから逃げる。ちなみにルパンの愛車は演出家によっても変わるが、宮崎版ではイタリア車のFIAT500。

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「風の谷のナウシカ」

「宮崎ブランド」のはしりとなった作品。1984年公開。原作は宮崎自身によって雑誌「アニメージュ」に断続連載(1982〜94年)された漫画。宮崎自身にとって、初めて他の原作者を持たないオリジナル企画だが、アニメーション作家が漫画原作を書き、その作品を自ら映像化するという、日本アニメ史上初の例となった。

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二馬力

宮崎の個人事務所。1984年、東京都杉並区に設立。二馬力の由来は、宮崎と夫人の2人の意とも、愛車2CVからとも。朱美夫人は東映動画時代の同僚。98年には小金井市に二馬力のオフィス兼アトリエを設置。通称を「豚屋」という。

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高畑勲

宮崎とともにスタジオジブリを主宰する映画監督。1935年三重県生まれ。59年、東京大学仏文学科卒業後、東映動画へ入社。「太陽の王子ホルスの大冒険」(68)で初監督。宮崎はこの作品の制作と組合活動を通じて高畑と通じ合うことになる。高畑は1971年東映動画を退社、Aプロ、のちズイヨーへ。宮崎も行動をともにする。一緒に「ハイジ」「母をたずねて三千里」などを制作した。高畑の監督作品は「火垂るの墓」(88)、「おもひでぽろぽろ」(91)、「平成狸合戦ぽんぽこ」(94)、「ホーホケキョ となりの山田くん」(99)など。

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スタジオジブリ

宮崎、高畑勲を主宰とするアニメーション・スタジオ。徳間書店が中心となって、1985年創立。原則としてオリジナルの劇場用長編アニメーション製作を掲げている。「ジブリ」とはサハラ砂漠に吹く熱風のこと(ギブリとも読む)。「日本のアニメーション界に旋風を巻き起こそう」という意図が込められているという。

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