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暑い夏を乗りきるための基準数値
著者 白鳥 敬

暑い夏を乗りきるための基準数値

簡単に梅雨明けを知る方法

現在、気象庁は「梅雨入り/梅雨明け宣言」(→◆特異日)を出さず、「梅雨が明けたと見られる」という目安のみを発表している。数年前にいったん「宣言」を出すのを中止したのだが、マスコミからの強い要請があったため、しぶしぶ「〜と見られる」という型式での発表になって復活しているもの。とはいうものの、インターネットを通してさまざまな気象情報が入手できる今、国民一人一人が、梅雨明け日の判断ができるようになるべきなのかもしれない。ここで“簡単に”できる梅雨明け日の判定方法を紹介しよう。秋田で、上空1500mの気温が15℃以上、500hPaの等圧面高度が5800mになり、それ以降下がらなくなる初日が、東北から西日本の梅雨明け日。高層天気図は、国際気象海洋(株)のホームページ(http://www.imoc.co.jp/index.htm)で閲覧できる。

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雷雨がおこる目安は

真夏の午後から夕方にかけて、大都市の中心部のみで発生する猛烈な雷雨。都市で発生する熱によっておこる「ヒートアイランド現象」(→別項)によるものだ。これは、日射によって熱せられたビルやアスファルト・空調機から出る熱風・車の排気などによって都心部の気温が周囲より高くなり、猛烈な上昇気流を起こすことによって発生する。とくに、上空に寒気が入っているときは激しい雷雨となる。雷雨になる目安を知るために安定指数(SSI)を知っておこう。高度1500mにある空気を5500mまで上げたときの温度を、5500mの高度にすでにある空気の温度から引く。この差がマイナス、つまり、上昇させた気塊の温度が高いときは、上昇を続け、雲を発達させ雷雨となる。この数値が-3以下だと雷雨、-6以下だと猛烈な雷雨となる。実用的な目安としては、富士山頂の気温と地上気温の差が、25℃以上になったとき、要注意。富士山頂の気温は、IBC WEB(http://www.ibcweb.co.jp/asp/srf/fuji.asp)で知ることができる。

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不快指数の求め方

1959年、米気象局が使用し始め、日本でも使われるようになった蒸し暑さの度合いを示す指数。記号はDI(discomfort index)。気温T(℃)、相対湿度U(%)から次の式を使って導く。

 DI = 0.81T + 0.01U (0.99T - 14.3) + 46.3

不快指数70:一部の人が不快、75:半数が不快、80:すべての人が不快、85:すべての人が苦痛を感ずる。

もともとはアメリカ人にとっての“不快度”だったわけだ。

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爽やかさの基準を知ろう−−相対湿度と飽和水蒸気圧

一般に湿度というが、これは相対湿度(r)のこと。単位体積中に含まれる水蒸気圧(e)と飽和水蒸気圧力(F)の比。

r (%)= (e / F)×100

気温が低いほど、飽和水蒸気圧が低い。つまり、気温が高いときに比べ、含み得る水蒸気量が少ない。30℃の空気は1m3あたり最大30gの水蒸気を含むことができるが、0℃の空気は4.8gしか含むことができない。30℃のとき湿度30%でも気温が10℃に下がると湿度が約100%になる。水蒸気量が同じなら気温が高いほうが爽やかである。

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洗濯指数はどうやって決めている

テレビ・新聞などのお天気情報で洗濯物の乾き具合の目安として「洗濯指数」なるものが出されている。この数値は、とくに定義というものはなく、各気象会社が独自の基準で出している。洗濯物の乾く度合いは、気温・湿度・風速・日射量などによって変わるが、これらのデータと実際の洗濯物の乾き具合の関係について観察し、これこれの気象条件のときは、これくらいの乾き具合である、という数値を引き出しているそうだ。

 次に洗濯指数の一例を掲げる。

   指数100:非常によく乾く。

   指数80-90:完全に乾く。

   指数60-70:乾く。

   指数40-50:乾ききらない。

   指数40以下:乾かない。

 洗濯指数の定義は、気象会社やメディアによって異なる。

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波の高さを知って海難防止

夏といえば、海辺のレジャー。海水浴にウインドサーフィン。しかし、波の高さに注意しないと事故に巻き込まれる恐れも。新聞・テレビの天気予報では、海岸の波の高さの予報が出されるが、これは有義波高と言って、観測した波高のうち波高値の大きな物から順に3分の1の波高値の平均値。最大波高はこの2倍に達することがあるから注意。ちなみに、波高とは、波の谷から頂上までの長さをいう。

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ビール指数 飲み頃は?

ビール会社や気象会社が“腕を振るって”おいしくビールが飲めるお天気の目安を出している。それがビール指数。BIGLOBE天気予報(http://weather.biglobe.ne.jp/data/jyoho/blbeer0-1.html)では、全国のビール指数を提供中。それによると、ビール指数90以上:最高、80-90:うまい、70-80:ややうま、50-70:普通、50以下:いまいち。この他、ビール会社では、月ごとに毎日の最高気温の平均値を出し、地域ごとに重みづけをして年間ビール気温を出し、過去のビール気温の平均値を100として指数化して、ビール生産計画に役立てているという。

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紫外線指数(UVインデックス)で露出時間も制御

紫外線指数(UVインデックス)は、カナダ政府環境省によって制定された紫外線の強さを示す指数。UVインデックスは、0-2:最小、3-4:低い、5-6:中くらい、7-9:強、10以上:非常に強いとなっている。UVインデックスは、強度ごとに太陽に当たってもいい時間が決めてある。UVインデックス0-4では約1時間、UVインデックス9以上では15分まで。

この他、紫外線の強さを表す単位として、J/m2/秒がある。紫外線は、肌にしみをつくるばかりでなくガンの発生要因ともなるので、紫外線の強い夏は、紫外線対策を十分にとってお出かけしたほうがよい。

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日焼けを避けたい人のためのSPFとPA

SPFは、Sun Protection Facrorの略。紫外線B)による日焼け防止効果を示す数値。日焼け止めを塗らない肌が日焼けする度合いを1として、日焼けを何倍遅らせることができるかを示した数値がSPF。SPF30なら600分で、塗らなかったときに20分でした日焼けと同じ程度の日焼けをすることになる。ただし、個人差があるので、あくまでも目安。PAは、Protection Grade of UVA の略。主に紫外線Aによる日焼け防止効果を示す数値。PA+:2-3倍の防止効果あり、PA++:4-7倍の防止効果あり、PA+++:8倍以上の防止効果あり。

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夏の風物詩花火の単位

花火は夏の夜の風物詩。浴衣姿で見る花火はいいものである。ところで、打ち上げ花火はどれくらいの高さまで上がり、どれくらいの大きさの大輪を咲かせるのだろうか。打ち上げ花火の打ち上げ高度と開花半径は花火の玉の直径によって決まる。4号玉なら直径4寸(約12cm)、打ち上げ高度は160m、開花半径は65m。大きな花を咲かせるのは5号玉以上の物だが、都会では、あまり大きな物は打ち上げることができない。ちなみに最も大きな30号玉は、玉の直径90cm、打ち上げ高度600m、開花半径275mにもなる。

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